night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「兵馬俑と古代中国」@静岡県立美術館 6/18


 新静岡駅から静鉄電車に乗った。こぢんまりとしたターミナルから出る2両編成の電車だが、それでも8分間隔で走っている。郊外鉄道と路面電車の中間くらいの存在のように思われる。

 県立美術館前駅で下りたが、ここから静岡県立美術館までは、だらだらとした坂を上って、わりと歩くのだ。本降りの雨である。バスに乗ればよかったけれど、バスに乗るくらいなら静岡の駅前から乗ってくるという方法もあった。


 緑の濃い公園に入る。佐藤忠良の彫刻が雨に濡れている


静岡県立美術館兵馬俑と古代中国 秦漢文明の遺産

 ちょうど今日から始まった展覧会だ。これも秋には東京に巡回してくるのだけど、東京で見ると絶対に混雑するから、早めに見ておきたかった。


 精巧な香炉。


 おどろおどろしい形の青銅器がたくさん。これらは春秋時代から戦国時代の秦のものだという。



 線刻画が彫り込まれている。宴かしら


 戦国時代の、玉の龍


 春秋時代の、青銅のナイフ。木簡を削って字を直すために文官が携帯していたものだそうで、いわゆる文房具なわけだが、精巧な金細工が、ただものではない


 木簡に記された漢字。


 これは打ち鳴らす楽器だそうだ


 金が象嵌された青銅器。

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 始皇帝が乗った馬車の、2分の1サイズの複製品だそうだ。始皇帝は真夏に巡幸先で死に、そのことを隠したまま、隣に魚の干物を山積みにした馬車を並べて走らせて臭いをごまかして都まで戻ったという。そんな逸話を思い出す。

 そして兵馬俑


 将軍も兵卒も、表情から軍装から、履いている靴の違いまで、克明にあらわされている。


 馬の俑は、前髪が変な髪形をしている。

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 副葬品としての「俑」は、漢代になると小型化していくのだそうだ。


 穀倉とか畜舎とか、かまどとか家畜とかのミニチュアを副葬品にするのが面白い。死後に生活に困らないように、財産を象徴するものを墓に入れるのだろうけれど、ということはこの時代には実際にこういう穀倉があったということでそういうことも見えてくるのだね。サイロのような穀倉の模型もあった。


 精巧な弩の部品と、鏃。

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 静岡県立美術館といえば「ロダン館」が有名。以前にも一度来たことがあるけど。『地獄の門』が設置されているのを見下ろす、そのくらい大きなホールだ。


 このポーズ好き


 『バラの髪飾りの少女』というテラコッタ。これ、もう一度見たかったんだよな。8年ぶりに見られた。

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 静岡県立美術館、昭和60年代の公共施設の、よい意味での大仰さのような空気が残っていて、ぼくはわりと好きだ。──おなかがすいたので美術館のカフェで何か食べたかったのだけど、営業時間が短縮されすぎていて、15時の時点ですでに終わっていた。いくら禍の時代からと言っても、ちょっと早すぎるようだ。


 さて、静岡の散歩はこれでおしまい。──県立美術館の公園を出て、雨の中を歩き、東海道本線草薙駅にたどり着いたら、ちょうど上りの普通列車(15時31分発)が出るところだったので飛び乗った。ガラガラの列車に揺られて熱海まで1時間10分。


 熱海で乗り換え

 さらに小田原で小田急の特急ロマンスカーに乗り換えて、町田まで3時間たらずで帰ってきた。