night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「花ひらくフランス絵画」@静岡市美術館 6/18

 静岡駅の南口に戻り、駅を横切って──静岡駅は不思議と雰囲気が名古屋駅に似ている──、地下道をたどって、葵タワーというビルに入り込んだ。このビルの3階にあるのが静岡市美術館である。「花ひらくフランス絵画 スイス プチ・パレ美術館展」を開催中。


静岡市美術館>花ひらくフランス絵画 スイス プチ・パレ美術館展

 印象派からエコール・ド・パリまでのフランスの絵画がまとまって来ている。揺れるようなピンク色と緑色の背景のルノワール肖像画を見ながら歩いて行く。──アルベール・デュボワ=ピエの『冬の風景』という絵が目を引いた。雪の中、消えていく村の小道が描かれているが、井戸と、後ろの山の位置関係的に実際にこうは見えないと思われるのだけど、切り取り方がいいのかな。こういう景色を見た、と思わされてしまうような良さがある。
Dubois-Pillet winter landscape
(via Wikimedia Commons)

 アシール・ロージェ(Achille Laugé)という画家の絵(『窓辺(Devant la fenêtre)』)も印象に残った。点描も使っているがきっぱりとした線が出ていたり、塗りつぶし気味のところもあれば「+」マークのようなものまで、様々な筆触が使われていて、全体がフェルトのような質感になっている。──ルイ・ヴァルタの絵(『マキシムにて』)もなぜか気になった。見えるようで見えない表情。何を見ているのか?

 だんだんキュビスムっぽくなってきて、不穏な絵が増えてくる。平面と立体がまじりあったようなアンドレ・ロートの絵、『ワトーへのオマージュ(Hommage à Watteau)』も面白い。スタンランのパリの街角を歩く女性のあやしい目つき、暗くきゅっと狭められた風景のキスリングの絵(『ルシヨンの風景(Paysage du Roussillon)』)など…。

 会期末なので混んでいるのかなと思いながら訪れたけれど、まったくそんなことはなくて、静かに落ち着いて見ることができて、とてもよかった。この展覧会は、夏には東京に巡回するのだけど、東京ではこうはいかないよなあ。