night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

11/15(月)京都、渉成園ライトアップ

 桜井駅に戻ってきたのは15時半頃だった。この日はどこに泊るか決めておらず、なんとなく奈良に泊まって明日も奈良をぶらぶらしたいような気分だったが、これぞ、というホテルが見つからない。奈良はもともとホテルが少なく泊まるには不向きな土地である。結局、京都まで行ってしまうことにして、また近鉄に乗った。

 だが、大和八木で乗り換えると京都までは1時間余りである。特急に乗ってしまってもよいだろう、と思ったら、直近の特急は、『しまかぜ』であった。──近鉄は特急列車の本数が多くて、比較的気軽に乗れてしまうのだけれど、『しまかぜ』は、ただの特急ではない、というか、伊勢志摩の観光客向けの豪華列車らしく、特急料金も高い。八木から京都までのような近距離で乗っちゃうのもどうかと思うけれど、乗ってしまえるなら乗ってみたい。だが桜井駅の券売機では『しまかぜ』の特急券は選択肢に出てこず、八木まで来てみたがホーム上の特急券券売機でもやはり売らないようだ。えー、なんでよ、ぼくに特急券を買わせなさいよ(笑)、などと思いながら、近鉄スマートフォンサイトを見たら、チケットレスであっけなく買えた。


 大阪線のホームで待っていると『しまかぜ』がやってきた。

 大和八木駅は先述のように、名張の方から来る東西方向の大阪線と、京都に向かう南北方向の橿原線が、直交している。『しまかぜ』は伊勢志摩から来て、路線図上だとここで直角に曲がって京都に向かうことになる。


 列車は西に向かう大阪線を分かれて、荒れ地の中の単線の線路に分け入り、橿原線に合流した。


 『しまかぜ』の、一人がけの座席におさまった。大型のシートにすっぽり包まれる。大きく倒れる電動リクライニングなのもすごいけれど、背面に電動マッサージ機が仕込まれていて、ボタンを押すとモウーモウーと動き出したのにはちょっと笑ってしまった。なにこれ! 近鉄、がんばってるなあ。車内はわりと満席に近かったのだけれど、同じような例を上げるなら箱根に遊びに行った帰りのロマンスカーみたいな感じで、乗客はわりと静かだった。──奈良から京都へ、暮れていく車窓を眺めながら、すっかりレイドバックしてしまった。


 京都駅に到着。快適でした


 京都駅にSuicaペンギンが?


 東本願寺の前。うむ

*


 京都では投宿先に落ち着いたあと、改めて出歩いた。


 東本願寺の近くに「渉成園」という庭園があり、期間限定のライトアップをしているというので行ってみた。そもそも「渉成園」がどういうところなのかも知らないが、大谷派が江戸時代から持っている庭園だという。作庭は石川丈山だそうだ。丈山といえば詩仙堂の人だね。

 入場は無料。どうやら学生さんがヴォランティアで動線を案内しているらしい。とはいえ、真っ暗な庭園に誘い込まれると…


 闇に白く浮かび上がると異様な雰囲気


 彼岸の霊廟のようだ


 まさに幽玄、という感じ。期待を上回るすばらしさだった。