談山神社からの路線バスを、途中で下りた。丘の中腹に、聖林寺というお寺がある。これはここに来るまで知らなくて、タクシーの運転士に教えられて、ああ、そこの十一面観音がこのあいだ東京の博物館に来ていましたね、ここにあったのか…、と思い至ったのだった。
気持ちのいい田園地帯を歩いて行く
ちょっと登ってきたら、立派な石垣の上に山門があった
聖林寺は、藤原鎌足の息子の定慧が建てたという、これまた古いお寺だ。非常に優美な十一面観音の立像があり、国宝だが、それは見られず、大きな地蔵菩薩が本堂にどっしりと鎮座していた。
冬に赤い実がつく植物、これ左から、千両と南天と万両だと思うんだけど…、三ついっしょに植えてあるのが珍しいというか、一種類だけあっても何だか区別がつかないんだよね
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さらにてくてく歩いて、安倍文珠院へ行ってみる。
途中、住宅街の民家の間に、上之宮遺跡というものがあって…
不思議な石組みが復元されている。なんでしょうね、これは…
古墳時代末期から飛鳥時代の豪族の居館で、聖徳太子が住んでいた「上宮(かみつみや)」である可能性もある、という。
何らかの呪術的な施設のように思えるけど…
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安倍文珠院。「日本三文珠」の一つだというのだが、聞いたことがないし、あとの二つがどこの何なのかもわからない。池の上にしつらえられた「金閣浮御堂」を七回まわってお参りせよ、などと指示され(だが途中で通れなくなっていたので、憮然として引き返した)、どうも観光化した寺院のようだ。
だってさ
だが、ここの文殊菩薩像が、端整ですばらしい。快慶の作だそうだ。獅子に乗った像は、見上げる迫力がある。これ、以前にどこかの博物館の展示で見たことがあるが、いつのことだったか。
どうも先ほどは裏門から入ってしまったようだ。こちらに参道があった。
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道ばたの、謎の銅鐸
このあたりは安倍という地名のようで、安倍郵便局があり、安倍小学校があり、あちこちに安倍と書いてある。歩いて桜井駅まで戻った。