ホテルからゆるやかな坂を上って、下ると、上本町の近鉄のターミナルがある。
急行名張行きに乗った。平日の10時前、ガラガラだろうと思っていたし、発車したときは実際にそうだったのだけど、鶴橋のホームは人で埋め尽くされていて、若い人がたくさん乗ってきた。こんな時間に? と思ったら、20分くらいの河内国分で一斉に下りて行って、向かいのホームの各駅停車に乗り換えている。なるほど、少し先に大阪教育大学があるようだ。
大和八木まで35分。ここは近鉄の大阪線と橿原線が交差するジャンクションだ。ここで下りて歩こうかと思っていたけれど、すぐ近くに橿原線の八木西口駅というのがあることに気づいて、橿原線に乗り換えた。大阪線のホームから階段を下りるとすぐに橿原線のホームがある。
八木西口駅という無人駅で下りて、少し歩くと、川の向こうにえのきの大木がそびえ、そのふもとに独特の街並みが広がっている。
ここは今井町(いまいちょう)というところで、近世の街並みがぽっかりとここだけ残っていることで有名だ。重要伝統的建造物群保存地区、いわゆる「重伝建」である。称念寺というお寺のまわりに広がった「寺内町」が元なのだそうだが、称念寺自体は修復中でお参りできなかった。
この壁、凝ってるなあ
明るい陽が当たった焼杉のテクスチャが、いい
この角に立つと、もはや現代とはとても思えない。
中を公開している町家もある。
二階まで吹き抜け。
ここは観光用のためだけに残されている街並みというわけではなく、実際に住民の方が生活している集落なのだ。集落の端にある神社では保育園の子たちが遊んでいたりする。なのに本当に時代が止まったような風景で、実際に歩いてみてびっくりしてしまった。
お寺の垣根に、明るい椿