night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「印象派・光の系譜」@三菱一号館美術館 10/29

 よく晴れた日、昼前から東京駅の丸の内口に出て、三菱一号館に行った。11時30分~12時00分という時間指定予約チケットが、直前でも買えた。

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三菱一号館美術館イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ─モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン

 冒頭から、コローの作品が何枚も。コローは好きなので、コロー祭りだ!とうれしくなる。なんか、しみじみと、いいんだよなあ。

Corot - Fisherman Arranging His Catch
(via Wikimedia Commons)
コローの描く情景の、ぼくが好きになっちゃうポイントって、“抜け感”なのかも。ほとんどの場合、近景の対象はわりと暗めで、そこに覆いかぶさるような闇があって、でもその向こうに、視線が抜けていく先に、光があるんだよね。

 セザンヌの『川のそばのカントリーハウス』という作品も、妙に気になった。
Paul Cézanne - Country House by a River - Google Art Project
(via Wikimedia Commons)
ぎゅっと狭められた情景のせいか、奇妙な閉塞感がある

 この展示は一部撮影可。──モネの睡蓮の池だ。
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 この絵、描いてあるのは積み藁なのだけど、『ジヴェルニーの娘たち』というタイトルがついている。

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 セザンヌ、これはあっさり風味で、好き。

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 カミーユピサロも、明るくていい絵が来てる。

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 ゴッホも2枚。『麦畑とポピー』/『プロヴァンスの収穫期』。──ゴッホはこれ以外にも、あなた筆触分割なんかやってたんですか?と言いたくなる、わりと珍しい(ような気がする)絵が来ていた。

Entrata Parco Vincent van Gogh
(via Wikimedia Commons)
これなんか、ゴッホっぽくないよね

 ゴーガンは、タヒチ時代の奇妙な絵が2枚ほど。『犬のいる風景』という、赤や紫色の地面に、黒い犬が横切る、どことなく不吉な絵だ。──また、レッサー・ユリィという画家の、戦間期のベルリンの絵がとてもよかった。白い舗道が鮮やかな『冬のベルリン』、雨に光る夜の舗道が美しい『夜のポツダム広場』。

 最後の部屋は、“人物と静物”というタイトルの部屋だったので、ごたまぜにしたかな、と思いながら入ったら、意外にもよかった。まず、クールベの、風景のような背景に巨大なりんごがごろごろしている奇妙な「静物画」(『リンゴの静物』)が可笑しかったのだけど、そのあとの肖像画たちがいい作品ばかり。ルノワールの、赤っぽい背景に黒いドレスの女性を描いた絵(『マダム・ポーランの肖像』)が、色の対比がくっきりとして、すごくよい。ルノワールってぽやぽやした色合いの絵ばかりかと思っていたけど、こういうのもあるのね。──ボナールの茶色い影の世界に沈んだ女性もよかったし、また、カミーユピサロの、少し肩を竦めたような点描の女の子の絵(『ジャンヌの肖像』)も、どことなく空気感が混濁してくるようで、見入ってしまった。

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 三菱一号館、空いてればいいところだよね。狭い施設だから、混んでると歩きにくい美術館なんだけど、この日は適度に空いてて、外に出れば明るいお昼で、気持ちのいい日だった。