night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

7/18(日)東京国立博物館

 炎暑の日、地下鉄で上野に向かったが、ふと思いついて新御茶ノ水で下りた。

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 新御茶ノ水駅の、このトンネル壁面のカレンダーって、日曜日と祝日の位置に赤い印がついている。実は初めて気づいた。毎年ちゃんと変えてあるのかな。

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 とても「東京」を感じる風景

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 聖橋を渡ると右手に木漏れ日の道が。そして、いかめしい黒い構えの門がある。

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 湯島聖堂。地面に何かガラスがおいてあるのは、いま東京では「東京ビエンナーレ2020/2021」という芸術祭をやっていて(まったく知らなかった)、その展示のひとつなのだそうだ。人はほとんどいない。

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 ものすごい暑さで汗をかきながら、丘を登って、湯島天神の境内を通り抜けて、天神下の交差点に下りると、地下鉄の湯島駅、そして不忍池がすぐ近くである。

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 上野公園にやって来た。休日だけど、静かだ。

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 東京国立博物館では、特別展『聖徳太子法隆寺』を開催中。

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東京国立博物館聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」

 こういうのは難しいんだよね…。ものすごい歴史的な価値のあるものばかりのはずなのだけど、遺物の価値がわからないと、見てもおもしろさを感じられないのだ。──ただ、飛鳥時代の仏像の妖美さに打たれていた。薬師如来坐像の両脇侍の細くくびれたウェストに感心したり…、観音菩薩勢至菩薩文殊菩薩普賢菩薩日光菩薩月光菩薩が並んだ部屋は圧巻だった。この人たち、男でも女でもない、不思議な…人間ではない何かのようである。

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 東京国立博物館、本館もひとまわり。

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 国宝室の展示は、いまは『平治物語絵巻』。乱暴狼藉の現場が活写されています

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 江戸時代の工芸品。こういうのってどういう由来のものなんだろうね。

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 伝徳川家康筆、『日課念仏』だそうだ。家康がその晩年に、死にそうになったら急に罪滅ぼしを願って、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…と書いていたのだそうだ。紙を埋め尽くすその文字に、鬼気迫るものを感じる。天下人になっても、心が休まることはなかったのだろう。

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 『歌舞伎遊楽図』。江戸時代のアイドルライヴ会場の図ですね

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 東洋館では、「イスラーム王朝とムスリムの世界」という企画展示が始まっている。

東京国立博物館>マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」

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ペルシャの彩色陶器が美しい。

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マムルーク朝アイユーブ朝の真鍮器。

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アブドゥルハミト2世の花押が入った勅令だそうだ。オスマン帝国末期のスルタンですね

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優美な刺繍が入った、オスマン朝時代の上衣。

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イズニク陶器だ。

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宝飾品にくらくらする。

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イスラム世界というのは歴史的にはムガル朝インドも含まれる。目もとの涼やかな女性たちの肖像が並ぶ、これはムガル朝の皇后像だそうだ。

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ムガル朝時代のインドの細密画、「シャー・ジャハーンと息子アウラングゼーブ」だそうだ。──これ、一見して、“放蕩息子の帰還”だ?と思い、あの挿話ってイスラム世界にも通底するモチーフなのだろうか、などと思ってしまったのだけど、史実ではアウラングゼーブは父のシャー・ジャハーンの帝位を奪っているそうなので、違うんだろうなあ

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 翌週にはオリンピックが始まるという時期、東京には、本当なら海外からたくさんの観光客が押し寄せていたはずだけど…。晴れて青い空が美しく、暑いけれど、木陰には気持ちのよい風が通る。人は少なく、静かで、実によい夏の東京の昼下がりだった。まったく、おかしなものだ。