night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

東宝ミュージカル『ビューティフル』@帝国劇場 11/21

 水樹奈々さんと平原綾香さんがダブルキャストで主役のキャロル・キングを演じる、ミュージカル『ビューティフル』、2017年の初演から3年経って、再演されました。

帝国劇場 ミュージカル『ビューティフル』

 日本でこれが再演されるにしても、主役を張る女性歌手は、変わるのではないかと思っていましたが、ダブルキャストのお二人とも続投。ぼくは水樹奈々さんのファンではあるにしても、このミュージカルはもう一度見なくてもいいかな(この時代に、無理してまで見たい演目ではないかな…)と思い、ファンクラブ先行のチケット受付はスルーしていましたが、しばらくするとプレイガイドの「イープラス」の貸切回が、多少割安に売られ始め、そちらで思わず買ってしまったのでした(時期によって、今の時代に対する自分の考え方がブレていたとも言えます)。──とは言え、そういう売り方をされるのが良席ではないことはなんとなく承知で、実際、1階席の半分よりは前方でしたが、下手側の一番端でした。

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 11月21日(土曜)のソワレの帝国劇場です。──禍の時代、またここに来られる日が来たというだけで、一歩前進だよなあ、と思う。

 満席のような状況だとやはり密だし、厳しいよな…、と思っていたら、どうやらイープラスさんは、座席の間を1席ずつ空けてチケットを売ってくれていたようです。他の回では全席販売されていたような話を目にしていたので、ファンクラブ先行をスルーしてむしろよかった、と。

 しかし、チケットもぎりではスタッフが券面を目視したうえで「自分で切ってこの箱に置いてください」と言われたり、ロビーの売店も縮小営業(水とジュースしか売っていない。あの変なプラスティックのコップのワインを飲むのが好きだったんですが)、などなど、今までとは違う劇場の様子もありました。また、幕間の休憩が30分取られていました。帝劇の休憩時間は20分か25分のケースが多かったと思いますが、時間を長くとっていたのは、おそらくトイレ列の緩和のためなのでしょうね。

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 水樹奈々さん、久しぶりに動く姿を見ましたし、ご懐妊の公表からは初めての姿でしたが、無理はなさらないよう…。しかし3年前の初演のときよりも明らかに歌唱がしっかりしていましたね。──カンパニー全体的には、そつなくこなしてるな、という印象を受けてしまうようなところがあり、熱気のようなものがいまひとつ感じられなかったのは、半分の客席のせいなのか…。イープラス貸切回ということもあって、客層は奈々さんファンというよりはミュージカル好きの人の方が多そうな気はしましたし、そのせいか客席の反応はわりとよかったとは思うのですが。

 再観劇して、印象に残ったのは、ジェリーというキャラとそれを演じる伊礼彼方さんの演技でした。このミュージカル、台詞はわりといかにもな米国ドラマの翻訳調で、それがぼくがこの作品がそれほど好きではない理由の一つでもあるのですが、そういう台詞を訥々と語る伊礼さんの演技は、本当に病んで苦しんでいるような切迫感があり、身につまされると言うと語弊があるかもしれませんが、胸に迫るものがありました。──また、ドニー役の武田真治さんは、今回は髭を生やした役作り。バリーとシンシアと一緒に、ニューヨークを離れるキャロルのところに集まるシーンで、僕は泣かないよ、なんて言いながら最初っから泣いてるように見えたんですよね。あのシーンはいいですね。あと、やっぱりシンシア役のソニンがかっこいい。ああいう女の人は、本当にかっこいい。(笑)

 カーテンコールではスタンディングでみんなでノリノリで手拍子してから、奈々さんの短いご挨拶がありました。こういう雰囲気も(半分の客席ではあっても)久しぶりのことで、やっぱり舞台芸術はなんでもいいからその場に行かないと話にならない、と改めて思ったし、だからこそ今は厳しいのだろうな…とも。──主役のキャロルは平原綾香さんとのダブルキャストですが、考えてみると平原綾香さんは奈々さんとはかなり違う声質の方なので、たぶんだいぶ印象は変わるのでしょうね。東宝さん、映像パッケージを出したりしてくれないかな…。