平日の昼過ぎに、東京駅に現れた。八重洲口のアーティゾン美術館へ向かう。日時指定制チケットは、14時からのを購入。
昔のブリヂストン美術館が新装開店した、真新しい美術館である。平日の午後に、まるっきりサラリーマンの恰好で美術館の入口に歩み入ったら、警備員に、美術館に来たのか?と問われた。「そうですけど」と答えたが、オフィス棟と間違えてないか確認されたということらしい。
上層階では、『鴻池朋子 ちゅうがえり』、『第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示帰国展 Cosmo- Eggs| 宇宙の卵』をやっていて、とくに鴻池朋子の方はかなりわけがわからない空間になっていて面白かったけど、割愛。
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旧ブリヂストン美術館、石橋財団のコレクションは、一つ一つが重量級で、見ごたえがある。
お久しぶりの、あの、亡霊のような男。カイユボットの絵
印象派の女性画家の作品が特集されていた。
ベルト・モリゾのこの絵、なんだか好き。なんなら、この日ここで見た絵の中で、一番好きかも。この二人、必ずしも母娘には見えず、適度に冷たい感情が見えるような気がするところがよい。
モネの睡蓮の池と、そして、黄昏のヴェネツィア。色の移り変わりがエキセントリックなほど激しいのに、優しくて美しい。
ピサロの絵なのだけど。望遠レンズのようだ、と思った
コローの描く森、好き
ルノワールの描く風景って、これまであまり記憶に残っていなかったかも。切り取り方は観光地のスナップ写真のようではあるけれど、この光を見てみたい、と思った。
セザンヌのサント・ヴィクトワール山。正直、うまいのかどうかよくわからないのだけど、やたらこの山を描く人だという印象はあるよね
有田の磁器。状態のいいのを持ってるなあ。
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パウル・クレーの特集展示をやっていた。──うーん、正直、よくわからない。だけどいくつか、妙に気になる絵がある。
『庭園の家』
『水の中の家』。
自分を取り巻く小さな世界が穏やかならんことを願う気持ち、のようなものを感じた。──騒がしい印象の絵もあるんだけどね。
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2時間弱の間、堪能して、おなかいっぱいになった。もっと手軽に来たい美術館だ。