今年の前半に中止になったり延期になったりしたイヴェントを、取り返しているような流れになっている、今日この頃である。実に約半年ぶりに、上野の美術館に足を運んだ。これも日時指定制チケットが必要ということになっている。
この展覧会のスマートフォンチケットは、イープラスのアプリのインストールが必須になっており、余計な手間がかかった。新型コロナ以後、日時指定制が盛んに導入されていることもあって、美術展示の分野でも電子チケット化が進んでいるが、特定のプレイガイドのアプリが必須というのは、悪手ではないかなあ。
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ものすごく正統派な展示で、イタリア・ルネサンス、17世紀のオランダ絵画、…といった区分で進んでいく。
フランス・ハルスの、『扇を持つ女性』。レースの微細な描き方に見入る。
(via Wikimedia Commons)
ワウウェルマンの『鹿狩り』(1665年)。遠近がごちゃまぜなので違和感が…
(via Wikimedia Commons)
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スペイン絵画のコーナー。
フランシスコ・デ・スルバラン『アンティオキアの聖マルガリータ』。べた塗りの感じはどことなくアニメっぽさがある。
(via Wikimedia Commons)
(via Wikimedia Commons)
躍動感! エル・グレコって1600年頃の画家なのだけど、同時代の画家とはタッチが明らかに異なるのがすごいよね。
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やっぱりよかったのは最後のフランス近代絵画のコーナーかな。
(via Wikimedia Commons)
モネの睡蓮。もう、なんと言うのだろう…絶品。うっとりしてしまうね。この人の描くこの池にしかない空気が、立ち上がっている。
ゴッホの『ひまわり』が最大の目玉作品だ。
(via Wikimedia Commons)
ゴッホのひまわりは、全部で7枚が知られていて、1枚は神戸の空襲で焼けてしまって現存しないそうだが、ぼくは2014年にロンドンのナショナル・ギャラリーに行ったときに、そこ所蔵の1枚と、アムステルダムの1枚がちょうどロンドンに来ていて、2枚並んで見られたという、運のよい機会があった。そして新宿の損保ジャパンが持っているもう1枚をあわせて、3枚見たことがあることになる。──しかし、アムステルダムと損保ジャパンの2枚は、ロンドンのこのひまわりのセルフコピーなのだそうだ。たしかに同じ花瓶の同じ様子の花を描いた絵に見えるが、わりと印象が同じではないのはなぜだろうか。損保ジャパンの方は、絵の具がもっと盛られていて、立体的な迫力が強かったような記憶があるが、どうだったっけ? あちらも新しい美術館がオープンしたから、近いうちに行ってみなくちゃいけないなあ。
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国立西洋美術館、常設展も一巡した。
中世の人は、そんなにしょっちゅう、石で人を殴り殺してたんですかね…
『アレキサンドリアの聖カタリナ』
ダンテ・ガブリエル・ロセッティの、たくましい腕の女性
モーリス・ドニ『ロスマパモン』。強い光と影の感じが好き。