翌日、四条大宮から市バスの46番で千本北大路へ、そこからぶらぶら歩いて大徳寺に行った。
大徳寺は、2017年にも来たことがあるが、広い敷地にいくつもの塔頭という小寺院が建ち並ぶところだ。龍源院も、前にも入ったけれど…
ここはとにかく品がよくて謹厳なので、好き。
興臨院のお庭も見る。
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山門の向こうに法堂と方丈がある。ここは特別拝観中である。方丈に上がると、前庭を挟んで唐門がある。前庭はとても美しい石庭だった。塀に区切られた石庭の向こうに、涼やかな緑の木陰がある。だが、そこにたどり着くことはできないのだ。──不思議な感慨があった。
法堂の天井には狩野探幽が描いた龍がいる。特別拝観は、京都の観光協会による“京の冬の旅”のキャンペーンによるもののため、誘導の係員が常駐している。そのタイミングで法堂に入ったのはぼく一人だけだった。「そこで手を叩いてみてください」と言われ、パンと叩くと、ビンビンビン…と不思議な反響が聞こえた。それが龍の鳴き声だと言われているのだそうだ。
そして、国宝の唐門を見る。先ほど方丈の前庭ごしに見たが、表側からも近くに行って見上げることができた。見事な彩色の彫刻で飾られている。
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総見院では織田信長座像を公開している。秀吉が信長をまつるために創建したという寺院で、信長の法名は「総見院殿贈大相国一品泰巌大居士」というのだそうだ。
庭園と茶室が涼しげだ
背後の墓地には、“信長一族の墓”がある。もちろん本当にここに織田信長が埋められているわけではなく、供養塔の一つだが、それでも当時からあるものだということだ。
白袴のようで凛々しい鐘楼。こういった禅宗寺院の意匠は、好ましい。