新型コロナウイルスの流行が言われる中、3/7(土曜日)は、高田馬場から早稲田大学まで都バスに乗り、少し歩いて神田川を渡って坂道を上ると、左手の林の中に、永青文庫ミュージアムがある。
■永青文庫
細川侯爵家のコレクションがあるところだ。いまは、『古代中国・オリエントの美術』の展示中。手のひらサイズの小物入れのような青銅器(“龍文人脚銅櫃”、西周~春秋時代)や、透かし彫りの鞘に入った銅剣(“透獣文鞘付銅剣”、春秋時代)など、これまで見たことのないような古代中国の青銅器が珍しい。金文ではないような不思議な書体の漢字が彫り込まれている銅矛があり、解説によると“鳥書”というものだそうだ。
目玉は、“金銀錯狩猟文鏡”というもので、精緻な人物像や、ぐるぐるした鳳凰の紋様が、金で象嵌されている。古代中国の戦国時代のものだというが、こんなにきれいに残っているものか…これはすごい、と驚いた。洛陽から出土したものだというが、いったい本当に戦国時代にさかのぼるものなのだろうか、と思ってしまう。国宝指定されているからにはある程度出自が明らかなのだろうとは思うけれど。
「オリエントの美術」のコーナーでは、“ヘルマアフロディーテ”という不思議なローマ時代の像が目についた。ヘルメスとアフロディーテの息子だという美少年で、それがサルマキスというニンフに抱きつかれて合体したところだという。どういう設定だ。──細川侯爵家伝来の高麗茶碗などもあって、熊川茶碗と書いて“こもがいちゃわん”と読むらしいが、16世紀の朝鮮のものである。現在この国では飯椀のことを「ちゃわん」と呼ぶのは、まさにこの時代の形からなのだろうな、などと思う。
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隣接する細川庭園も散歩。
そしてまた薄暗い坂道を登って──このへんは神田川の河岸段丘地形らしい──、和敬塾の横を通って目白通りに出た。
ミツマタの花が咲いていた
東京カテドラルに立ち寄った。
獨協中学の横を、こんどは坂を下りると、音羽通りである。──上野松坂屋行きの都バスに乗り、ぐるっと不忍通りをたどって、地下鉄の根津の近くで降りた。谷中霊園のあたりへ歩いて行った。
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スカイ・ザ・バスハウスというところで、李禹煥の作品展をやっている。
もとは銭湯だったというギャラリーだ。
筆づかいと色の変化だけで構成されている
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この日は上野駅まで歩いてから帰宅した。
上野の博物館群も動物園も、いまはどこも休館中なのだ。人のいない上野公園は広い。