■国立西洋美術館>ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
最初にかけられているのが“ローマ王としてのマクシミリアン1世”の肖像画で…“ローマ王”という肩書自体、ヨーロッパの中世史の知識がないとよくわからないものなので(もちろんぼくもよくわからない。そこらの王よりも格上だということでしょ、という程度にしか…)うーん、と思いながら大きな展示室に入ると、恐ろしげな中世のフルメタルアーマーが並んでいて、うわっと圧倒された。やたら腰が絞ってあったり、スカートのようなデザイン、そして細かい装飾など、とても実戦用とは思われないものばかりだが、実戦用のものもあるという。見たところ、どうやら、馬上槍試合用の甲冑というのは胸に鍵爪の金具がついていて、徒歩槍試合用の甲冑というのはそれがないようだ。とくに説明はなかったと思うが、槍を運ぶときに引っ掛けるとか、そういう用途があるのだろうか。
マリア・テレジアやマリー・アントワネット、皇妃エリーザベト、そして軍服を着たフランツ・ヨーゼフ1世に終わる、数百年の歴史を駆け足で巡る展示だった。──目玉は、スペインの王女を描いた、ベラスケスの有名な絵(『青いドレスの王女マルガリータ・テレサ』)。あまり元気そうに見えない女の子だなあ、と思うけれど(?)、…彼女が着ているドレス。ぼくは展示されているこの絵に近づきながら、そこに本当にビロードの布地があるように見えて、えっ、と一瞬驚いてしまった。でも、絵の間近でその筆づかいを見ても、とてもそんなふうには見えない。これは不思議だ。ベラスケスとはたしかにすごい画家なのだなと思う。
(via Wikimedia commons)
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西洋美術館の常設展では、今年の“松方コレクション展”で初お披露目された『睡蓮、柳の反映』が展示されていた。