月曜日に開館している美術館と言えばここだ。いまは、パリのオランジュリー美術館からいろいろ来る展覧会が、始まったところだ。
■横浜美術館>オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち
目玉はルノワール、『ピアノを弾く少女たち』だ。この絵、意外に、背景もピアノも、塗り残されているような茫洋とした感じで、同じピアノを弾く女性たちの絵としては、もう一枚の『ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル』のほうがしっかり描き込まれている。女の子の表情もあまりうまく描けているとは思えない。だがその茫洋さが、揺らめくような、まぶしくて見えないような(?)、そういう世界になってしまっているのがすごい。
(写真は過去にオランジュリー美術館で撮ったもの)
ルノワールで、よかったのは、『花束』という小さな絵。暗めの青い背景の前に、緑の円い花瓶に活けられて、赤いポピーのような花が、浮き上がって見えるようだった。
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シスレーとモネ。(同上)
リアルに描こうとしてどうもおかしくなっちゃうアンリ・ルソーさんは、相変わらず(笑)。マティスの絵もいくつかあったが、マティスにしてはわりと色彩が控えめなものが中心だったと思う。──ピカソの絵は、新古典主義時代の作品が目を引いた。がっしりとした、異様なほどの量感を持った女性の姿は、何かの神像のようだし、またそれを大きなサイズで描くから余計に何か神々しい。
アンドレ・ドランという画家がとても気になった。美しくない裸の皮膚のしわ、たるみや影を描くが、透明な少女の瞳や、みずみずしい葡萄の粒、黒い闇に浮かぶ花束の絵など…、何か透徹した視覚を感じる。
だが、この、全然楽しくなさそうなアルルカンとピエロの絵は、よくわからない(同上)
シャイム・スーティンという画家にも魅かれた。赤や黄色の絵の具を塗りたくって肉塊を描く。人物は細長く極端にデフォルメされている。こうなるとベーコンまであと一歩である(?)。風景を描けば曲がりくねっている。だが家はまっすぐに描いているので、ちゃんと戦略的に描いているのだとわかる。
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そのあと、横浜美術館はコレクション展も一巡した。
藤田嗣治の猫
長谷川潔の銅版画。
マティス『顔をかたむけたナディア』
篠原有司男『ラブリー・ラブリー・アメリカ(ドリンク・モア)』
郷土資料的な意味もあるのか、開港当時の横浜の絵図がいくつも。このあたり、旧居留地と元町、いま高速道路と根岸線の高架が覆いかぶさってるあたりだなあ。
この夕景の光の描き方がいいよね
川瀬巴水の『東京二十景 芝増上寺』。これすごく好きです。木版画なので、たしか町田の美術館でも目にしたことがありますが
樋口五葉『髪梳ける女』。これは先日の町田でも見たし、ここも所蔵しているのね。