地元・町田の、鶴川駅前にある市のホールで、アルトサックスの矢野沙織さんのライヴがあるので、行ってみた。
ジャズはまったくわからないけれど、無限に続くかのような技巧的な音楽を、ただ聴いているのは、わりと特殊な体験に感じた。矢野沙織さんは、薄い桃色のドレスに、頭に高い羽飾りをつけて、長身のクールビューティといった立ち姿であったが、ぼそぼそと話すMCがユニークだった。──「ファーストセットの曲は…ジャズの曲を、たくさんお聞きいただきました…曲の説明は…まっ、いっか…(会場笑)…セカンドセットも…ジャズの曲が…たくさん…あります…」
「生まれた頃から…小さかったことがなくて…すごく嫌だったんですけど…小学校高学年くらいのときに…家で『イパネマの娘』がかかっていて…父が…背の高い女の人の歌だよって…そんな思い出が…今では底も上げて髪も高くして…」
「14歳のときに学校に行かなくなって、学校に行かないなら仕事しなさいと言われて、ビリー・ホリデイの自伝を読んでいたら、ライヴハウスに行けば仕事があるのかと、大きな勘違いをして、今に至る…」
…世の中にはいろんな人がいるんだなあ、と驚く。
ラストの『Left Alone』の凄味に、ちょっと放心してしまった。──『ウィスキーが、お好きでしょ』は、矢野さんのアンコールのお決まりのようなセットリストらしい。口笛が、どことなく寂しげでもある。
終演後に貼り出されたセットリスト。
帰りに思わずCDを買ってしまった。