神戸に泊まった翌日は、晴れて蒸し暑い日だった。
すでにクマゼミがシャワシャワとないている。
湊川神社。
楠木正成の戦没地と、墓所がある。本当に場所が特定されているのだろうか、とも思うが、このあたりが南北朝の古戦場だったわけだ。
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JR神戸駅
神戸駅のみどりの窓口で、乗車券と特急券を買い、10時01分発の特急『はまかぜ1号』浜坂行きの自由席に乗った。『はまかぜ』とは、大阪から城崎温泉方面に向かう特急だが、福知山線ではなく、姫路から播但線を経由する、珍しい列車である。車両はまだ新しめのディーゼル特急で、すべるように走るが、たった3両編成で、自由席は先頭の1両だけにもかかわらず、がらがらに空いていた。
淡路島が見える
姫路で多くの乗客が乗ってきた。ここから進行方向が変わり、播但線に入る。のどかな車窓になってきた。
寺前までは一応、電化されており、あずき色の電車が見える
11時43分の竹田で降りた。観光客が多いのではないかと想像していたが、そうでもなかった。
ここに来たのは、“天空の城”として名高い、竹田城跡に登ってみようというつもりである。観光案内所でパンフレットなどをもらい、踏切を渡って、駅の裏の小さな公園で休憩したら、正午のサイレンが鳴り響いた。
鯉が泳ぐ水路に沿って、寺院が三つほど並んでいる。たしか真宗・真宗・浄土宗という組み合わせだったと思うが、西日本ではわりと珍しい組み合わせではないかな。
寺院にかけられていた破れ太鼓。なんだろう、これは
いよいよ登山道に入る。たいした距離ではないはずなのだが…
急勾配に、完全に息が上がった。城跡の料金所に着くまで30分程度だったが、そこまででひどく消耗し、汗びっしょりになった。料金所のおじさんに「おつかれさまです」と声をかけられる。たぶんひどい顔をしていたのだろう。
眼下に竹田の町が見える
室町時代に築城され、関ヶ原の後に廃城になった城で、標高300メートル余りの山上に、南北400メートルもの範囲に石垣が巡らされている。たしかにこれはものすごい規模の城跡だ。しかし、こんな山の上に城をつくっても、水場もろくにないだろうし、ここで戦や籠城などできるものだろうか?
登山に満足して、別の道から下山する。
直滑降みたいに下りていく道で、これまた大変キツい。
土俵のある不思議な神社の境内に下りてきた。表米神社というそうだ。
竹田の集落に戻ってきた。