金曜日の夜間開館で、18時前から縄文展を見ていたのだが、けっこう混んでいた。もう少し空かないかな、と思っていたものの、20時近くなっても入館してくる人の波が減る様子がなかったので、まあいいか、と縄文展を出て、本館と東洋館をひとまわりした。
本館の浮世絵コーナーも夏らしいセレクションに。春信の小野小町
乾隆年間の填漆。「器体にやや厚めに漆を塗り、刀で形を彫ったところにさまざまな彩漆を嵌め込んで文様をあらわしたもの」を填漆というそうだ。
雍正年間の景徳鎮の大物と、南宋の米色青磁。どっしりとしていていいね。
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展示は、鮮やかな紅型の染織から始まって、珍しい琉球絵画が展示されている。中国絵画に学んだ山水画などが中心だったが、那覇の港の様子を描いた屏風(島津への献上物などのために描かれたもののようだが)を珍しく眺める。女性の手の甲にマークのような刺青(ハジチというらしい)をしていた、ということを初めて知った。また、首里城に黒装束の島津の武士の行列が進んでいく情景で、首里城が黒壁で王宮のファサードのみ赤く描かれているのは、あれはどういうことなのだろう? 黒壁の時代もあったのだろうか。
葛飾北斎の『琉球八景』などという珍しいものも展示されていたが、北斎にしては、どうにも気の抜けたような絵であった。清国の冊封使の資料が日本で翻刻出版され、その挿絵を北斎が写したものだそうだが、どうしたってそれではリアルには描けないのだろう。
琉球王家の関連遺物がまとめて国宝に指定されているそうで、金・銀・瑪瑙などなどに彩られた、本物の冠が展示されていた。そして青い龍袍。こんなものが残っていたのか、と感心する。さらに、黒漆に螺鈿が妖しく光る大盆や重箱など、すばらしい。これだよ、こういうものが見たかったんだよ! ──惜しむらくは、那覇で首里城に行ってもこういうものが見られないこと、だと思う。今回の出品は、目録を見ると、工芸品は那覇市歴史博物館や浦添市美術館のものが多いようだ。そういうところに行けばよかったのか。
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森美術館の『建築の日本展』へ。
■森美術館>六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
この展示は、とにかく、聞いたことのない面白い建築がたくさん紹介されていて面白かったし、見に行きたい場所が増えてしまった。だが、国宝『待庵』の実物大再現模型は、大行列になっていたので、断念した。ちょっと残念。
齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャー『パワー・オブ・スケール』。
そうそう、日光東照宮の五重塔は心柱を「吊り下げている」とはいったいどういうことなのだろう? ちょっと調べてみよう。
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さらに国立新美術館のルーヴル展を瞥見してから帰宅。──ナポレオンの肖像が立派であるが、何がすごいって、やはり、大理石像で表現された衣服やマントの厚ぼったい感じ、石を彫ってこの柔らかさ? と驚いてしまう。絵画作品では、『マラーの死』や、『美しきナーニ』などが来ているけれど、美女ポイント第一位(?)は『エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像』じゃないかな! あの、ちょっと頬紅さしちゃってる感じ、反則では…(笑)