友人と、奥多摩駅に10時に集合して、小河内ダムまで歩き始めた。関東地方は今年、まさかの、6月中の梅雨明けである。この日も気温がぐんぐん上がる。危険を感じ、飲み水を、合計で2リットルかついで歩いた。
奥多摩駅近くの氷川の集落から小河内ダムまで、国道につかず離れずで進む、9km程度のハイキングコースである。途中、何か所かはトイレもあり、道標もよく整備されている。
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国道412号線から“むかし道”に入ると、いきなり、美しい青い蝶がひらひらと飛んでいて、あっけに取られた。
写真に撮ろうと、友人とがんばってみたものの、ひらひらと飛んでいる蝶を撮るのは不可能で、しかし地面に止まって水を飲んでいるときは、蝶は羽根を閉じているのである。──帰ってから調べてみたが、どうやら、ミヤマカラスアゲハのようだ。
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集落を縫って行く“むかし道”だが、高々と廃線跡が跨いでいるところもある。あれは、台風のときなど何か落ちてきたりしないのだろうか…
小河内ダムの堰堤が森の向こうに見えるあたりで昼食休憩。どうやら何かの建物の跡らしく、コンクリートの基礎が残っている。ダム建設当時の宿舎の跡ではないか、などと見当をつけるが、いまはただ、葉末の緑が美しい。
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“休み処”の文字に惹かれて歩み入ると、大きな旧家のような家がカフェになっていて、縁側が開放されて客が入っていた。“Cafe Indigo Blue”というお店で、品のいい若いマスターに案内されて、座敷でくつろぐ。お店の中は和風アンティークで、扇風機が回り、小さなレトロ風ラジカセから聞こえるか聞こえないかくらいの音量で大橋トリオ的な音楽がかかっている。アイスコーヒーを頼んだら、洒落た陶器で供される。おすすめはジェラートだったみたい。
そして、眼下には小河内ダムと奥多摩湖が…。なるほど、これは隠れ家カフェ。“むかし道”にこんなお店ができていたとは。ここまではダムの前から車でも入って来られるようで、ここを目当てに来ているお客さんもいるようだった。
しばらく涼んで、再び歩きはじめる。ここからは20分も下れば、小河内ダムだ。
小河内ダムは堰堤の上に自由に入れて、平和な感じで、いいですね
でも、これだけの規模のダムを、昭和32年に完成しているのだから、やはりすごい。
帰りは、ダムの前から西東京バスに乗ると、20分程度で奥多摩駅まで着いてしまう。戻ると、間髪入れずに東京行きの『ホリデー快速おくたま号』が出るので、乗ってしまった。立川で打ち上げして、解散。