この日は朝早くから出てきてLFJでピアノを聴いたあと、地下鉄で表参道まで戻った。根津美術館へ、庭園のかきつばたと尾形光琳の燕花図屏風を見に行く。
尾形乾山の色絵や錆絵などのやきものが多く出ていた。庭園は、いまがかきつばたの盛り。
年々、外国人が増えている。どちらかというと西洋人に人気があるようだ。東京でも指折りのセンスのよいスポットだと思うし、よいことだと思うな。
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根津美術館の近くの高級住宅街に、岡本太郎記念館がある。前に行こうとして休館日だったのを思い出し、立ち寄ってみた。
大阪の『太陽の塔』の修復公開に向けた展示中。『太陽の塔』、今春から内部公開が始まったのだね。完全予約制だそうだが…。前に万博記念公園で外観は見たことはあるが、内部も岡本太郎氏が大爆発した空間になっているようだ…ぜひ一度見てみたいものだ。
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表参道から東急に乗って、二子玉川へ。砧線跡の歩道をしばらく歩き、崖線に分け入るあたりで坂道を登ると、静嘉堂文庫美術館がある。ここに来るのは二度目だ。
“酒器の美に酔う”という展覧会を開催中。この展覧会に合わせて美術館の庭でビアガーデンをやるというので、それは気持ちよさそうだ、と思って来たのだが、この日は前夜からの荒天のため、ビアガーデンは中止になってしまった。あまり便利ではないここまでわざわざ来たのに残念、と思ったが、…いやいや、ぼくは曜変天目を見に来たのだ、そうだ(笑)
ここが所蔵している曜変天目茶碗は、『稲葉天目』というもの。世界に三つしかないと言われる、星が散ったように見える南宋時代の陶器のうちの一つである。だが、この『稲葉天目』、深い蒼色に散らばる斑紋は、なんとなく武骨で、どちらかというとちょっと気味が悪い。
北宋時代の『青白磁輪花杯・托』の、透き通るような色合いに見とれたり、粉青という、点々と違う色の土をつけて紋様を描き出す朝鮮王朝時代の陶器に感心したり。地味にすごいと思ったのは、金の時代の『黒釉油滴斑瓶』。黒い地の一面に、微細な油滴がほぼ均等に散っている。──また、康熙年間の彩色された杯の一式は、外側の絵柄や文字が内側から透けて見えるほど薄く、これぞ極北! と思った。
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美術館を出て多摩堤通りまで歩いてきて、バス停で待っていたら、調布駅行きのバスが来たので適当に乗り、狛江駅北口で下りて、小田急で帰宅。