night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

坂本真綾 LIVE TOUR 2018“ALL CLEAR”@ NHKホール 3/31

 坂本真綾さん、久しぶり?のコンサートツアーは、大阪・台北・香港・東京と、初めての海外公演が入ったものでした。香港とかちょっと行こうかと迷ったんだけど(そのときちょうど休みを取っていたし、現地サイトでチケットも取れそうでした)、東京公演、坂本さんバースデーの3月31日のNHKホールに参戦。ぼくの座席は2階Rの最後列でした。

 幕開けから、『プラチナ』で始まって、2階も観客が前の方からばばばっと立ち上がっていきました。これは立つ/立たないが問題になりがちな坂本さんのコンサートではちょっと珍しいことで、意外の感を受けました。坂本さんはベージュのトレンチコートみたいな色合いのロングのシルエットのドレスで、でもボトムスが分かれててときどき脚が見えてセクシー(?)。──最初のMCで、「せーのっ、」と言って、ハッピバースデートゥーミー! と自分で歌ってしまいました。サプライズが嫌いな坂本さんらしい(^^;

 MCで海外公演に触れて、坂本さん、台湾の観客がものすごい熱気で、それにあてられてライヴ中に思わず「カモーン!」とか言ってしまった、この私が! …だそうで。「現地の言葉を教えてもらって、『みんな愛してる!』とか言ったけど、考えてみると日本ではそんなこと言ったことがない。察する文化だからな、わかるよな! 今日、愛してるって言うかどうかは、これからのおまえら次第だ!」…と、坂本さんらしいと言えばらしいのだけど、それにしてもだいぶ飛ばしてるなあ、なんて(笑)。

 「懐かしい曲もやります」と言って歌い始めたのが『ハニー・カム』だったので、あれが旧曲の部類に入っちゃうのか、と変なところで感慨を覚えたりもしましたが…、よかったのは、『夜』。これがライヴで聴けるとは!! ──あと、もう、そういう人だということはそれなりにわかっているのだけど、『なりたい』を誕生日に歌うっていうのは本当にすごいな、と。「誕生日は一年でいちばん自分が好き。ひとつ歳を重ねてきれいになれる」…。坂本さんって、ある種の“こういう人になりたい”を体現しちゃってるじゃない。

 インストでは、ギタレレとフラットマンドリンとギターで、『夜明けのオクターブ』。石成さんが弾きながらノリノリでボックスステップを踏んでいて、河野伸さんもお付き合いでちょっと踏んでて、ほほえましかったですね。そして後半の坂本さんはブルーのサマードレスのような衣装でした。後半の『ヘミソフィア』や、タイアップつきのシングル曲が連発されたメドレーは、海外公演向けの構成だな、というのがありありとわかりましたが、坂本さんは『指輪』の一番いいところで歌詞をとばしてしまい、歌い終わってから、「ちきしょー! 不甲斐ないな!」と悔やんでいました。──しかし、「そんな不甲斐ない私ですが…」とMCで、新曲『CLEAR』の話につなげていく坂本さん。『カードキャプターさくら』の20年ぶりの新シリーズの曲ですね。

 このMCが、圧巻だったのです。坂本さんが言うには、──「特別なことなんて何もない自分が、さもあるかのような顔をして、シングルを切り続けなきゃいけないわけです。…でも、魔法が使えたらいいなと思っていた女の子が、三十代くらいになって(笑)、それなりにリアルな恋愛をしたり、理不尽なことに遭ったりしてるけど、それでも、『翼がないなら走っていくわ』と思っている…、そういう歌詞を書いた。(主人公には)翼があるんだけど、そういう歌詞でもいいですか、と先生(CLAMPさんのことかな?)に訊いたら、汲み取ってくれた。」──という内容のMCでした。ぼくは『カードキャプターさくら』を見ていないどころか1ミリも知らないし、ましてやぼくは男なのだけど、なんだか、ちょっとぐっと来てしまいました。坂本さんの、悩みながら前に進む作家性のようなものが、ものすごくクリアに現れた、非常に印象深い語りでした。

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 アンコールでは、最近出たドリカムのカヴァーアルバムで歌った『三日月』について、坂本さんが19歳のときにお兄さんが交通事故で生死の境をさまよったときに聴いていた、というエピソードを語っていました。お兄さんのそのことについては前にも何かで語られたことがありましたが、改めて聞くと、坂本さんの人格形成に大きく影響した出来事だったのでしょうね…。

 最後は、「みなさん、『シンガーソングライター』という曲を知っていますか。」と観客に語りかけて、ひとふし歌い、「…次なんだっけ。」と言い出して、笑ってしまいました。「…えっ? 歌詞、ど忘れしちゃった。こんなことってある〜?!」 ──どうやら本当に忘れたようで、コーラスの女性から歌詞の紙をもらい、「ここに歌詞がありました!」なんて。「一緒に歌ってくれたら愛してるって言ってやる!」と言って、最終的にはけっこう甘い評価で、お言葉をいただきましたね(笑)。最後には、最前列の女性にその歌詞の紙をプレゼントしていました。(NHKホールの最前列って、そんなに手が届くくらい近かったのだっけ?)

 セットリストはこちら。

・プラチナ
・走る
・(MC)
・ハニー・カム
・24
・夜
・なりたい
・レコード
・光の中へ
・美しい人
奇跡の海
ロードムービー
・(instrumental(夜明けのオクターブ))
Million Clouds
・ロマーシカ
・(MC)
ヘミソフィア
・逆光
・メドレー(色彩/トライアングラー/Be mine!/tune the rainbow/指輪/幸せについて私が知っている5つの方法
・(MC)
マジックナンバー
・(MC)
・CLEAR

-encore-
・(MC)
・三日月(Dreams Come Trueカヴァー)
・(MC)
・ハローハロー
・カザミドリ
・(MC)
・シンガーソングライター