西丹沢の、玄倉川というところに林道が通っており、“ユーシン渓谷”という名前がついている。最近、そこの玄倉ダムというところの水の色が美しいということで、“ユーシンブルー”などと呼ばれている。──なんてことを友人と話したことが、あったのかどうか、もう忘れていたところ、友人が行こうと言う。だが、調べてみると、玄倉ダムは工事のため来年まで貯水していないという。ユーシンブルーは見られません! それでも行きますか? と訊ねたが、まあそれでも行こうということになり、冬の日曜日の朝、8時に小田急の新松田駅に集合することになった。
相模大野から特急ロマンスカー『あさぎり1号』に乗り、御殿場線の松田駅で下車。御殿場線の松田駅は、南口に出ると小田急の新松田駅が目の前だが、『あさぎり』が着いたホームの目の前の改札口をなんとなく出てしまったところ、そこは北口で、ぐるっと回って築堤の上を通る御殿場線をくぐって、新松田駅前のバス乗り場で友人と合流した。
新松田駅前から、富士急湘南バスの「西丹沢ビジターセンター」行きに乗って40分程度、「玄倉」バス停で下車した。眼前には丹沢湖が広がる。
わかりにくいが富士山も見える。──時折、遠方からドン…ドン…と爆音が聞こえる。おそらく御殿場の陸軍の演習場の砲撃音だと思うが、それなりに距離があるはずだがこんなに聞こえるものだろうか。
若干の準備運動ののち、歩きはじめる。だが、基本的には林道で、採石場などもあるため、風景は荒っぽく、必ずしも歩いて楽しい道ではない。渓谷とは言うが、河原に下りられるような川でもないし、そんな道でもない。
路上に大きな岩が。これは“ドスン”と落ちてきたということだね…などと。ガードレールもボコボコである。
新青崩隧道。名前がよくない。──トンネルには照明設備は一切なく、中にカーヴがあるため光が射さない。ライト持参が必須だが、ぼくは持って来ていなかった。知らなかったわけではないのだが…。友人はやたらと強力なライトを持って来ていた。
玄倉第二発電所の前で、おにぎり休憩。
さらに歩き、正午頃にユーシンロッジに着いた。今は閉鎖されているが、それなりにしっかりした宿泊施設だったようだ。行ったときは、人が入って設備のメンテ中であった。
この川沿いは白い岩が特徴的だ。石灰岩なのかと思ったが、調べたところ石英閃緑岩だということだ。
玄倉バス停に戻ってきたのは14時過ぎだった。合計で4時間半くらい歩いたことになる。15時06分のバスで新松田駅に戻った。──川沿いの林道のため、陽が射す場所がほとんどなくて非常に寒く、場所によっては風も吹いていたため、だいぶ身体が冷えてしまった。