▼9月17日(日)「型染めデザインの美」@町田市立博物館
“江戸の粋 明治のシック ─型染めデザインの美─”という展覧会。紋付や反物などが展示されており、細かい柄で感心するが、ガラス越しでちょっと遠いんだよね…
でも、柿渋紙に彫られた型紙、これだけで、とてもしゃれたデザイン。
▼9月18日(月)「フィンランド・デザイン展」@府中市美術館
台風が去った翌日、自転車で府中へ出かけた。
多摩川の是政橋
府中市美術館で、『フィンランド・デザイン展』を開催中。
テーブルウェアがとても魅力的。カイ・フランクのシンプルなマグカップなんか一つ欲しくなっちゃった。──氷を模したガラス器も魅力的…なんたって名前がいいよね、“世界の果て”の意味で“ウルティマ・テューレ”だもんね…さすが北欧語…(^^; ほかに、鮮やかな色のプリント生地や、ポスターデザイン(フィンランド航空のポスターが独特なセンスで面白かった)、そして、やはりこれだね、という感じの、ムーミンの絵本やグッズの展示も。エーロ・アールニオのデザインの球形の椅子は、展示室では触るの禁止で、座ってみたいなあと思っていたら、ロビーに置いてあってお試し可能だったけど、人が途切れなくて、座れなかった。
▼9月24日(日)「ボストン美術館の至宝展」@東京都美術館、東京国立博物館
『ボストン美術館の至宝展』、目玉は、宣材にもなっている、ゴッホの“郵便配達人ジョゼフ・ルーラン”と“子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人”の夫婦のようだ。
だが、順路冒頭の古代エジプトのものを過ぎて、まずぼくが驚いたのは、宋の徽宗の真筆、『五色鸚鵡図巻』! 痩金体と呼ばれる徽宗の、一種独特な、だけどこの上なく流麗で見ていて気持ちのいい筆跡。徽宗の真筆なんて、初めて見たと思う。──さらに、『九龍図巻』。かすれて散ったような墨跡で、風雲に暴れる龍たちを描き出す。横山大観を思い出すような異様な渦巻も。
これは迫力がある。これも南宋のころのものだというのだから、よくこんなものが残っているものだ。
日本美術では、曽我蕭白の墨画の屏風などを眺めて歩いて行ったが、英一蝶という江戸時代の絵師の『涅槃図』が目玉のようだ。これも大きな絵、しかもとても鮮やかで、修復が成ったばかりだということだ。入滅する釈迦の周りに人々や動物たちが寄り集まっている、という定型的な題材の絵だけれど、飯を漫画盛りにして持って来ている純陀という弟子が描き込まれていて、いまさら遅いよ!とちょっと笑ってしまった(純陀が施した食事があたったために釈迦は亡くなったという話になっている)。──階を上がるとこんどは西洋絵画。ミレー、コロー、シスレーなどが並ぶ、これだけで十分ぼくの好物なゾーンだ。モネのルーアン大聖堂も一枚あるし、睡蓮も一枚ある。クールベの花が禍々しさを放っていた。最後には米国絵画や、コンテンポラリーアートまで。ウォーホルのジャクリーヌ・ケネディがいると思えば、村上隆のなんじゃもんじゃな絵、そしてホックニーの油絵なんて珍しいのでは。お皿に山盛りの果物がどんどん腐って行く『静物』という映像作品は、強烈なアンチテーゼを感じて面白かったな。…なにしろ古代エジプトの石像から現代美術まで、とにかく題材的には盛りだくさんで、焦点が定まらない感じはあったけど、つまみ食い的な(?)、肩の凝らない面白さのある展覧会だった。
*
東京都美術館を出て、国立博物館に立ち寄った。東洋館は“博物館でアジアの旅 マジカル・アジア”と題して特集展示中。ぼくは東洋館が好きで、何度か来ているけれど、展示が変わるので、折にふれて足を運ばねばなりません。
翼のある人。ギリシャ神話のアトラスがアジアでこういう造形になっているようだ。なんだか、とっつぁん坊やって感じ…だけどなぜ翼があるのだろう?
謎のアイマスク。高昌国時代の遺跡から出たものだそうだ
そしてシュメールの神像
鳥の人! 紀元前のペルシャのタイルですって
これは“遼三彩”だそうだ。初めて聞く。三彩と言えば唐三彩とばかり思っていたが、その後の時代にも引き継がれていたのね。
いつもなら古代の青銅器の大物が並んでいる曲面ガラスの大ケース、いまはこういう感じに。
この“マジカル・アジア”展、もう一度くらい見にこようと思う。
*
本館にも廻ってみた。
縄文のハート型土偶。
国宝展示室では『一遍聖絵』を展示中。
京都の河原に高床の道場を建てて、中で大勢集まって地団駄踏んでる(?)ところ。
国立博物館は何度来ても飽きないのだけど、この日は時間切れになってしまった。また来よう(^^
夕暮れの淡い光の表慶館。絵になる建物だ