松岡美術館へ行ってきた。雨模様の土曜日の午後、白金台駅で地下鉄を下りて外苑西通りを歩いて行き、ついと曲がった高級住宅街の中に、ひっそりと美術館がある。曲がるところを間違えてちょっと迷ってしまったりして、なるほど隠れ家美術館と言われるだけのことはある、などと思った。
素晴らしい美術館であった。もっと小規模な施設を想像していたが、よい意味で予想外だった。
これがあるだけでとてもミステリアスな雰囲気になる、『猫の給仕長』、ジャコメッティ…ですがこれはアルベルトの弟のディエゴ・ジャコメッティ。
ヘンリー・ムーアのぬぼーっとしたブロンズが横たわっている部屋。
エミリオ・グレコの女性像も。
オリエント美術の部屋には、ガンダーラ仏が並ぶ。
仏教が中国に来ると、こういうのっぺりした顔になるのね。ガンダーラのままで日本に伝来していたらだいぶ印象が違っただろうが…
古代エジプトの部屋まである。──こういうものたちが、ガラスケースにも入らず、手が届くようなところに置いてあり、じっくりと見ることができる。
アンリ=エドモン・クロッス『遊ぶ母と子』。いい絵。よく見ると純粋な点描ではなく、塗り分けた後に点を加えているようだ。
この美術館は、携帯電話の使用は禁止、写真撮影は可だが、シャッター音を出すのは禁止、携帯電話での撮影は禁止、…といういろいろなレギュレーションが書いてあり、難しいが、要するにスマートフォンで音を出さなければ撮影してよいようだ。