9月1日(金曜日)の午後、国立新美術館のジャコメッティ展へ。アルベルト・ジャコメッティの個展が日本で開催されると聞いて、ぜひ行きたいけど、攻めてるなあ…と思ったのだが、行ってみたらやはり、この種の大規模美術展としては大丈夫なのかと思うほど空いていた。
◆国立新美術館>ジャコメッティ展
◆TBS>ジャコメッティ展
針金のような細い人物像で有名なジャコメッティだけど、最初からそうだったのではなく、若いうちはキュビスムっぽい、まだ厚みや質量のあるものを作っていたということを知る(『コンポジション』ってタイトルつけちゃったりする感じ)。面白かったのは、『キューブ』という不整形な多面体。見る角度によってさまざまに形を変え、影の落ち方も変わる。かと言って、なんの形とも言い難い。不思議だけどつい見入ってしまう。
そして、細い人物像たちが現れる…。
写真撮影可能だった、『女性立像』(1959)と、『歩く男』(1959)
こういった細い人物像、意外と、足もとがしっかりしているのだ。造形的に安定して立てるために必要だからだろうとも思ったけれど、地面をしっかり踏みしめる強さがある。
ただ面白いのは、ジャコメッティにとってこれはあくまで“見たまま”の表現なのだそうだ、ということ。──月並みな感想かも知れないが、人間なんてこんなふうに、ちょっとでこぼこしてるかすべっとしてるか程度の違いしかないんじゃないの、なんて思ってしまった。ぼくは好きだ。なにが良いって、顔がはっきりしないのが良い。見る者の解釈を拒絶しているような。そんな細い人たちの群像作品は、ちょっと圧巻であった。
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9月5日(火曜日)の夕方、日比谷公園を散歩。
松本楼のとなりに立っている巨木