night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

LFJ2017 “LA DANSE”

 今年の『ラ・フォル・ジュルネ』は、5月4日〜6日の三日間の開催。ですが今年は、都合上、初日に聴きに行けるかどうか、というところで、チケット争奪戦にも遅れを取りました。5月4日、ささやかに2本だけ聴いてきました。

 ◆ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017「ラ・ダンス 舞曲の祭典」


 今年は、“ラ・ダンス”。音楽とダンスは切っても切れない関係のものだから、まあ言ってみれば、なんでもあり、って感じのテーマですね。

 一本目は、ホールB5の、こちら。

公演No.136 5/4(木)ホールB5“ダンカン” 19:15-20:00
「ラテンの楽園 I」
・カラーチェ:タランテラ op.18
・モンティ:チャールダーシュ
バルトークルーマニア民俗舞曲
・マルチェッリ:幻想的ワルツ
ピアソラ:「タンゴの歴史」から 酒場1900、ナイトクラブ1960
・カラーチェ:マズルカ op.141
・カラーチェ:ボレロ op.26
・ムニエル:スペイン風奇想曲
-encore-
ニーノ・ロータ:映画「ゴッドファーザー」から組曲
 ジュリアン・マルティノー・トリオ(マンドリン、ギター、コントラバスによる三重奏)
 LFJにマンドリンが登場、ということで、興味を持ちました。ホールB5の、上手サイドでしたが一列目で聴けました。奏者のジュリアン・マルティノー氏は、フランス人だそうで、まずそこが意外。ラウンドバックのクラシック・マンドリンを、ストラップもつけずに立ったまま楽器を抱えて弾くスタイルも意外でした(よく楽器を落っことさないものです)。プロですからアマチュアと比べてはいけないでしょうが、ピッキングがとても均等できれいに鳴り、ピッキングトレモロの差がないのに驚き。──『タンゴの歴史』ではちょっと泣きそうになりました。…敢えて言いますが、マンドリンを聴いていて音楽に心を動かされたのは久しぶりでした。

 思わずCDを買ってしまいました。

Paradis latin

Paradis latin

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 終わって出てきたら、中庭のミュージックキオスクでは、なんと阿波踊りで盛り上がっていました。“ダンス”がテーマですからね! なんでもありですね。LFJのこういう感じって好きですよ(^^

 場外で一杯飲んでから東京国際フォーラムに戻り、ホールA“ニジンスキー”へ。──このときやっと気づきましたが、今年の各ホールの名前は、有名なダンサーの名前なのですね。さっきのホールB5は“ダンカン”で、スコットランドの王がどうした?とか思っていました(笑)。

公演No.116 5/4(木)ホールA“ニジンスキー” 21:45-22:30
ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥組曲(1919年版)
ラヴェルボレロ(小曽根スペシャル)
-encore-
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番よりインプロビゼーション
ラヴェルボレロ(後半から再び)
 小曽根真(pf.)/エリック宮城(Tp.)/フランス国立ロワール管弦楽団/パスカル・ロフェ(cond.)
 これは、ジャズピアニストの小曽根真氏が入って、ラヴェルの『ボレロ』をオーケストラと共演する、というプログラム。なんと、エリック・ミヤシロ氏のトランペットも入るということを当日知りました。いったい何が、と半分訝り、半分期待しながら、2階席のほぼ中央の6列目で鑑賞。──前半は『火の鳥』、これがよかったんだよなあ。実際、エキストラも多く入れてやっているのでしょうに、締まりのある音楽でした。このへんは、さすがはフランスのオケ、ということなのでしょうか。

 後半はグランドピアノが引き出されて、えんじ色の衣装の小曽根氏と、黒いバンダナでトランペットを大中小3本持ったミヤシロ氏が登場。『ボレロ』、最初のうちは普通に進みますが、途中からフリーな感じに小曽根氏がピアノを入れて、徐々にヒートアップしていきます。トランペットは、思ったより控えめだったかな。繰り返しはだいぶ増え、熱演だったのは確かですが、…これ、かなり賛否が分かれていたと思いますね。客席ではスタンディングオベーションする人がいる一方で、ぼくの近くからは「金返せって感じ!」「ボレロっぽい何かじゃん」などの声も聞かれました。まあ、プログラムを見れば普通のことをするのではないってことくらいはわかったじゃない、という気もしますけど、ね…。──小曽根真氏、オーケストラメンバーが拍手を受けるときは、わざわざグランドピアノの蓋を下ろしていました。そして、アンコールで弾くとなるとまた自分で蓋を開けるのです。律儀な方ですね。

 終演したのは22時45分頃。連休のさなかの混雑した小田急線で帰宅しました。今年のLFJ、2本しか聴きに行けず、ちょっと物足りなかったな。──LFJ、来年のテーマが公式Facebook等で公表されていないような気がしますが(そのせいで、本当に来年もあるのか、という心配をしてしまうのですが)、…"Les exilés(亡命者たち)"、邦訳は「新しい世界」なのだそうですね。…ちょっと、はっとしてしまうテーマです。来年に期待です。