night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

紫禁城に降る雪

 北京の雪も白かった。

 予報どおり、昼前から小雪が舞い始めた。紫禁城にいたぼくは、なんと風流じゃないか、だがこの場合は日本人のぼくが考える“風流”にあたるのだろうか、などと思いながら眺めていたら、あっと言う間に、飛び交う氷雪の欠片が目の前の空間を覆っていた。紫禁城の黄色い甍の波が、白いヴェールをまとっていく。東京の雪のようにべちゃべちゃとして積もるような雪ではなく、粉のように振りかかり、吹き飛んでいく雪だった。さすがは大陸の雪、と感心する。

 しばらくしたら小降りになり、地に落ちた雪は、人々によって払われ、除けられ、地の芥を巻き込んで、どす黒くなっていった。その意味ではやはり北京の雪は黒かった。しかしそれはどこの都市でも同じであろうと思われる。

 雪が汚染物質をどうにかしたのだろう、北京市の大気汚染の指数は、今日はだいぶ下がっている。とは言え、こちらはその雪を地上で浴びていたのだから、世話はないと言うか、大気汚染指数がどうしたって言うんだ、という話ではある。夜になっても雪が降っている。