出町柳から京阪電車で宇治へ。京阪電車のキャンペーンに便乗して『響け!ユーフォニアム』の聖地巡礼をしたくて来た。宇治には去年も来たんだけどね。
■京阪電車×響け!ユーフォニアム2|京阪電気鉄道株式会社
…“宇治・伏見1dayチケット”(出町柳からだと900円)を買うと、引換券がついてきて、中書島駅でクリアファイルがもらえる、というもの。数に限りがあるようですよ。
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まずは、さわらびの道から、大吉山へ登る。
大吉山(仏徳山)の展望台から、前回は同じ道を下山したが、この日はさらに先へ進んでみた。道なりに歩くと、少し東の方で山を下りることができるようだ。
道標に従って下りて行くと、山の下に、大きな伽藍を持つお寺が見えてきた。
山門の前に出た。興聖寺という、曹洞宗の寺院である。庫裡に行くと、拝観希望の方は住所氏名を書いて志納料一口三百円からを入れてください、という封筒と鉛筆が置いてあり、呼び鈴を鳴らすと若い僧侶が出てきてくれた。興聖寺は、その開創は道元禅師に遡るようだが、いまこの場所にあるのは寛永年間に再興されてからのことだという。本堂は、慶長年間に落城した伏見桃山城の資材を使ったそうで、うぐいす張りの縁側に、血天井がある。
ネットで噂の、フェルメール木魚。
観光客はまったくおらず、謹厳な静けさのある、とてもよいお寺だった。…何気なくそこにあるお寺が、とんでもない由緒を持っているから、関西というところはすごいよな、と、坂東の鄙の地から来た旅行者としては、思うのだった。
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次は、宇治川の上流に向かって歩き、天ヶ瀬ダムへ。天ヶ瀬ダムは、『響け!ユーフォニアム』二期の、衝撃的(?)な、墓参エピソードで出てきたところだ。
狭い道だが、先の方で通行止めになっているらしく、車が入ってこないのはありがたい。対岸にも車道はあるが、麗奈と久美子が自転車で行ったのはたぶんこっちだろう…、と思って、歩いて行った。
しかし、このままダムまで歩いて行けるのかよくわからなかったので、吊り橋を渡って対岸へ。
ダムに近づくと大工事中で、大型車が行き交う中を交通整理の方々に見守られながら首をすくめて、仮設通路を登って行った。
天ヶ瀬ダムは、昭和39年に完成した、堤頂高73mのアーチ型のダムである。隣にあるれんが造りの建物は発電所で、緑色の川の水とれんが造りの発電所、という取り合わせは京都の蹴上の疏水を彷彿とさせる。──さらに上の方に行くと実際に墓苑があるらしいことは地図を見て知っていたが、さすがにそこまでは行かない。
管理事務所の横から、ダムの天端に入ることができる。敷地の入口の守衛さんの詰所で住所氏名を記入させられ、「東京から。」と驚かれた。近くには“いのちの電話”などの看板もあり、ああそういうところか、なるほど、などと思う。
宇治川は流量が多く激しい川だ。これに落ちたらまず生命はないだろう、と思わされる、深い緑色の流れである。宇治というところは、そのせいか、優しい自然の風景が豊かな土地でありながら、どこかしら、死を想起させるところがある。…などと思いながら、また歩いて市内の方へ戻った。
いわゆる久美子ベンチ、再び。次は桜の季節に来てみたいけどね…さすがにその頃は混むのだろうなあ。
そして、宇治橋と京阪宇治駅を越えて、堤防の上を、さらに下流へ。目指したのは…
この水管橋。ここも印象的に使われていたところだった。写真を撮るのに、ちょっとだけ太陽待ちしてしまった。ほんとはもう少し太陽が西に行ってほしかったのだけど(?)、そこまで天気が良くないし、そもそも季節的なこともあるだろうし。
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道々、不思議な光景を目にした。
石の張りぼてを設置している?
これは、“太閤堤”という、秀吉時代の宇治川の堤防を“復元”しているところなのだという。意地悪く言うと、史跡の捏造、になってしまうと思うけれど、どうなのだろう。
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ここまで来ると、京阪宇治駅よりもむしろ三室戸駅のほうが近いのだが、一応、宇治駅に戻った。
京阪のキャンペーンで設置されているパネルを、ひと駅ずつ撮りながら、中書島駅へ戻ることにした。
宇治駅。改札近くのわかりやすいところにあります。
黄檗駅。中書島方面の改札近くの、狭いところに無理矢理置いた感じ。
六地蔵駅。狭い通路の壁面にあって、乗客がいなくなるのを見計らってぱちり。
中書島駅。これは、駅のどこにあるのか、ちょっと探してしまった。地下の乗り換え通路にありました。
そして、最後に中書島駅で久美子クリアファイルをもらって、ユーフォめぐりはおしまい。
スマートフォンアプリでゲットしたARを使って、京阪宇治駅合わせ。このARのために大吉山に登ったのです。(笑)
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もう夕方の17時半過ぎで、暗くなってきている。丹波橋で近鉄に乗り換えて、京都駅へ戻った。──京都駅では一時間くらいあとの新幹線の指定席を取って、最後に、ここも見物。
ここも『響け!ユーフォニアム』の、聖地と言えば聖地。
大階段。京都駅は何度も来ているけれど、ここを歩いたのはおそらく学生時代ぶりだと思う。それにしても、べらぼうな空間だよなあ。日本の景気が良かったころに設計されたのかな、などと思ってしまう。とにかく勢いのある建築だ。──というわけで、おみやげも買って、京都発19時05分の『のぞみ252号』で帰浜した。この日は宇治で4時間近く歩き回っていて、手が軽くしもやけになってしまうくらい、寒い季節だったけれど、…京都の良いところをたくさん見られた、よい旅行だった。