night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

9/2(金)大沼公園と、夜の函館散歩

 “新函館北斗”駅とは言うものの、しかし、ここは函館ではない。函館へは在来線に乗り換えて20分くらいかかる。どちらかと言うと大沼公園に近いところである。大沼公園に行ってみようと思う。

 大沼公園へも、在来線があれば20分程度なのだが、台風の被害のため動いていない。しかし何かしらあるだろう、と思い、駅舎の中の観光案内所で訊いてみると、14時08分にバスが出るということだった。見渡す限り、バスロータリーの周りにレンタカーの営業所しかない新函館駅前に、“有限会社大沼交通”のバスがやって来たので乗り込む。大沼公園まで720円を支払った。バスはなんと2分早発した。ここでは、東京の感覚で分刻みで行動していては、駄目のようだ。

 バスは国道5号線を北へ向かい、大沼プリンスホテルを通って、大沼公園駅にほど近い“ポロト館前”というところで下りた。観光ドライブインのような施設があるが、閉鎖されている。ぶらぶら歩くと景勝地、大沼が現れた。雲はかかっているけれど、駒ヶ岳もよく見える。


なんかいる…!


北海道の森にこんなに苔が生えてるとは思わなかった。

 散策コースを一巡し、さらに、ボロボロの貸自転車(800円)で大沼を一周(14km)した。接客の融通の利かなさなど、観光地としてはこなれてないなあ、と思ったが、内地とは違って、こなれるほど客が来ないのだろう。


列車の来ない、大沼公園駅


函館本線が、大沼と小沼の間を通っているところ。

*

 蕎麦を食べてから、バスで新函館北斗駅に戻った。在来線乗り場の表示を見上げると、すぐに18時01分発の『はこだてライナー』があり、係員に「乗りますか? いそいで!」と急かされ、小走りに乗り込む。真新しいロングシート3両編成の交流電車で、20分くらいで夕闇の函館駅に着いた。連絡船時代の流れをくむ、弯曲した長いホームが特徴的な函館駅では、青い特急車両が灯りをつけて準備をしている様子だった。動かないのに?と思ったが、「函館本線は、明日の16時台の特急『北斗』から運転再開する」というアナウンスが流れた。

 駅前のホテルに投宿し、路面電車で夜の市内を散策した。函館の市内は13年ぶりだ。函館山は前に登ったことがあり、月夜に最高の夜景を見たので、今回は登らない。


 宝来町で市電を下りて、函館公園


 海峡には漁火が見える。夜の海は恐ろしい


 谷地頭の電停


 聖ヨハネ教会


 カトリック元町教会の尖塔越しに、港の灯火


 松風町で食べた活きイカ。まだ皮膚がぬめぬめと動いていた


 十字街の近く、末広町


 宝来町あたり

 広い道路と、轟音を響かせて走る路面電車、ナトリウムライトに照らされた古風な建築たち、寂れた漁港、横たわる臥牛山、…以前に訪れた函館は、寂寞とした風情がエキゾティックな、とても魅力的な港町で、ぼくはたいそう感動したものだったが、いまは、ただの寂れた地方都市に見えた。13年が経って、ぼくの目が濁ったのかも知れない。…違う。前に見たものをもういちど見たい、と思って旅行しても駄目で、いまの自分が何を見るか、それを見つける旅行を、しなければならないのだ。

 締めに味噌ラーメンを食べてホテルに戻り、そこそこいい気持ちで就寝。明日は早いから、しっかり寝なくちゃ…。