茅原実里さん、アルバムをリリースして、ライヴツアーが始まりました。今回は、横浜・仙台・福岡・大阪・名古屋の5公演で、地元・パシフィコ横浜、最大規模の公演のチケットを事前に押さえていました。──新譜『Innocent Age』は、恋する女の子のキモチのストーリーを描いたコンセプチュアルなアルバムで、一聴してこれまでとの風向きの違いを感じて戸惑ったのは確かでしたが、どういうライヴになるのだろう? という期待半分、不安半分で、6月18日(土曜日)、梅雨の晴れ間の暑い横浜へ出かけました。
シャープな青空が広がった横浜。2年前の『NEO FANTASIA』ツアー以来のパシフィコ横浜です。『Parade』ツアーで思い出深い会場でもありますね。
開場前の物販でタオルとフラッグを買って、クイーンズスクエアの下のカフェで休憩してから、改めて会場へ。ぼくの座席は一階後方の中央付近でした。
みのりん、絵の具が散ったようなドレスで、頭には黒のリボンかエクステか?で猫耳みたいに見える髪型。冒頭、『いつかのわたしへ』のギターのつま弾きに乗せて、紗幕の向こうの壇上で歌い、語りが入り、小さな光がみのりんに落ちて、スタートです。そこからの『Awakening the World』は、会場を温めるのにちょうどいい流れでした。
ステージセットは、下段にベンチやテラステーブルが置かれ、石造りのような見た目の中段に橋の欄干のような手すりがあり、そして上段には大きな両開き窓があって、窓の向こうからジュリエットよろしくみのりんが歌うという趣向。──基本的にMCはなく、曲間に手紙の読み上げというスタイルの語りが入るのですが、疑似恋愛調で、ちょっと大丈夫かしら、と不安になったのも事実でした。ですが、ご当地にちなんだデートプラン(横浜なら、中華街に行って〜港の見える丘公園に行って〜、など)を織り込んできたり、ハンバーグを作るのにはまってコレステロールがC判定になっちゃったのでファンクラブイヴェントで運動会をやりました〜(笑)、などのネタを突っ込んでくるあたり、おかしくってだいぶ笑ってしまいました。あと、餃子がうまく焼けませんでした〜宇都宮出身なのに…とか。爆笑。
中盤のバンドのインストタイムは、相変わらず変拍子の複雑な曲で、さすがはみのりんバンド「CMB」。今回のドラムスは岩田ガンタ氏で、蛍光スティックが宙を舞いました。そのあと登場した黒っぽいドレスのみのりん、『Dancin' 世界がこわれても』はワイパーとコールを誘うヘヴィ気味な曲で盛り上がります。その流れで、なんと『Final Moratorium』、アルバムに寄り添って展開するなら過去曲を挟みづらいよね…と思っていましたが、まさかのあの緑色のレーザー(いわゆる「秋田レーザー」(笑))が展開しました。そして続けて『輪舞-revolution』。あまりの懐かしさに声を嗄らしてしまいました。たぶん、この日、会場が一番盛り上がったのがこのときでした。やっぱりみんな跳びたいんだ、と確信した瞬間でもありました。
本編中ずっと、バンドはしゃべらず後景に引っ込んでいるという演出になっており、なるほど、と。みのりんの手のひらから小さな光が天に向かって帰っていき、本編が終わりました。演劇的にしっとりと終わったので、終わらない拍手でアンコールをうながすスタイルでいきたくなり、率先していたところ、一階後方はちょっとだけ引っ張れそうになったものの、ほどなく前の方でアンコール隊長みたいな人たちが「アンコール!」コールを始めてしまったので、まあいいか、と。(^^;
アンコールでは『Hyper New World』で爆発的に騒いでから、メンバー紹介で、初めてバンドメンバーが一言ずつ語りましたが、…“ミス・サンシャイン”こと晴れ女の茅原さんに対して“ミスタースコール”雨男のギタリスト馬場さんが今回は負け、という話(笑)。大先生室屋氏は一時期よりも痩せて、もとに戻った感じですね。岩田ガンタ氏がリハーサルの時のエピソードを話そうとして、みのりんが「それ話してもいいやつ?」と焦っていたのがツボでした。──『Lush march!』で恒例の旗を振りましたが、俺はこの曲で何年旗を振ってるのかなーなんてしみじみと思ってしまいました。振りが身体にしみついていて、もはや、動きになんの迷いもないんですよね(笑)
そうそう、面白かったのが、
みのりん「今度わたし、」
客「おおっ?」
み「東京ドームで、」
客「おおおっ?!」
み「…投げます」(笑)
──日米対抗ソフトボール大会で始球式をやるっていう話でした。ソフトボール部出身のみのりんの強肩を見慣れているぼくらにとっては、なんの不安もないだろう、と思うのですが、アンダースローは慣れてない、というような話も。本番ではワンバンだったらしいです。ふつうに上で投げさせてあげればよかったのに、ね。
2年ぶりのライヴツアー、感慨があったのでしょう。この日のみのりんは、どことなく、言いたいことがうまく言葉にならない場面が何度かあったように思います。
み「ここ(会場)って、なにもないじゃないですか。」
客「??」
み「うそとか、なにもないじゃないですか。」
…ああなるほど、濁ったものがない純粋な空間だということね。でも、その空間を作っているのは、他ならぬみのりん自身なのです!(^^
たぶん、セットや演出にお金をかけたからでしょう、銀テープや降らしものなどの特効はありませんでした。──今年はツアーの直後に夏のライヴ『サマードリーム』があるという珍しいパターンになっています。サマドリは、「ツアーの打ち上げ」ですって!! 楽しみだなあ。
*
事前にはチケットを押さえていなかったのですが、なんだか物足りなくなったぼくは、一般発売でツアーファイナルの名古屋のチケットを買って、出かけることにしちゃいました。日帰り弾丸遠征です。──7月18日(祝日)、新横浜から11時09分発の『のぞみ107号』広島行きで名古屋へ。この日、西日本から東海地方までが見事に梅雨明けし、かんかん照りの中を、寄り道をしてから会場に向かいました。
会場は、金山駅のすぐ近くにある「日本特殊陶業市民会館(NTKホール) フォレストホール」です。ここ、数年前までは「中京大学文化市民会館 オーロラホール」と言っていた記憶がありますが、要するに古くからある名古屋市民会館で、ネーミングライツを売ったために企業の都合で数年おきに名前が変わるという状況になっているようです。そう考えると、「日本ガイシホール」で定着している旧・名古屋レインボーホールは、名前を買った会社が偉いですね。そういえば日本碍子も日本特殊陶業も、ノリタケの流れを汲む、名古屋の名門企業ですよね。“NGKスパークプラグ”で有名。
ぼくの座席は3階2列目のほぼ中央。この会場は、2階以上は1列目が立ち禁になっており(手すりが低く危険だからだそうです)、2列目が実質最前になり、よい見晴らしです。この種のライヴで立てないっていうのはテンションだだ下がりで、ちょっとかわいそうだな、とは思います。しかし3階席は、3列目以降はほぼ空席になっており(ある意味で関係者自由席としても使われていたみたいです)、また、4階は閉鎖されていました。前の名古屋のみのりんのライヴではこんなことなかった、とは隣の方のお話。。。みのりん人気の相対的な下降に思いを馳せつつ、17時スタート。
この日は、手紙ポエムのご当地ネタが「名古屋港の花火大会!」(今日ですね)など。。。ライヴの構成は同じでしたが、『Final Moratorium』 の次の曲が『Defection』でした。この曲がセットリストに入るのはだいぶ久しぶりなのでは?(おそらくですが、2012年のULTRA-Formation@幕張以来じゃないかと思います) 個人的には、この曲を初めて聴いたのが2011年2月のZepp Nagoyaだったので、名古屋に縁のある曲になりました。ぼくはこの曲でテンション上がりすぎて思いっきりジャンプしたら、着地点を間違えて、前の座席の背もたれに脛をガリッと擦って負傷するというアクシデントも…。
パシフィコ横浜の一階後方よりも名古屋NTKホールの三階のほうがステージに近く、双眼鏡こそ何度か使ったものの、みのりんの表情がよく見えました。『春風千里』の途中からあれっ?と思い始め、舞台上手の壇上に立って歌うみのりんの影が大きく映る『カタチナイモノ』では、この人このまま倒れるんじゃないか、というような表情や身のこなしのみのりんに、えっ、えっ、と3階席で焦っていました。それもストーリーであり演技だったのですが、…女優だなあ。
アンコールでは、みのりんのウェブラジオ番組にメールをくれた、みのりんファンどうしで結婚したという人がここに来ているということで、どこにいますか〜とみのりんが呼び掛けたところ、1階8列目の下手寄りにおられました。お祝いに『ひとりにひとつの永遠』を歌いたい!とみのりんが言ったところ、進行予定にないことだったようで、バンマスのキーボード・ケニー氏が困ったように首をかしげてしまいましたが(大先生はヴァイオリンをかまえて、やる気だったようですが)、ついにはアカペラで歌ってしまうみのりんでした。すごいと思ったのは、会場中に、ちゃかす人など一人もおらず、みのりんがその二人に歌いますと言ったら、潮が引くように全員がすっと座って、その二人にみのりんの歌が届くようにしていたこと。みのり勢さすがだな! と思うと同時に、これ、関東圏だったらこういう雰囲気にはならなかったかもしれないな、名古屋でよかったんじゃないかな、とも思いました。
この日の公演では、最前列をおそらく数列つぶしてレール上を収録のカメラが動いており、映像パッケージ発売ありか! でもここよりもパシフィコのほうが広くてやりやすかっただろうに…と思いましたが、アナウンスされたのは、映像発売ではなく、今秋にCSで放映するというものでした。ゆくゆくは映像発売されることを信じていますが…。ダブルアンコールは、みのりんのライヴシーンに欠かせない一曲、『Freedom Dreamer』でした! 完全燃焼、大満足。
終演は20時20分頃でした。この時間に名古屋市内にいるなら、帰宅にそれほど焦る必要もありません。呼吸を整えてから名古屋駅に移動し、21時07分の『のぞみ422号』で新横浜まで帰りました。ライヴ帰りなので、新幹線の指定席は乗る直前に買うと決めていたので、B席しか取れませんでしたが、乗ってしまえば新横浜まで80分程度。金山の市民会館は遠征に便利な立地で、助かりました。
*
今回、全部で5公演のライヴツアーに、初日の横浜とファイナルの名古屋に参加しましたが、みのりんも、バンドメンバーも、やり足りない感じでしたね。しかし、2012年の『D-Formation』ツアーのような長大ツアーは、今ではもう難しいのかもしれません(あのときは、15本もやった上に、幕張で実質追加2公演があったんですよね…。ぼくも3+2本行ったので、あの頃が最大の盛り上がりだったような気がします)。今回のツアー、結局、完売した会場がひとつもなかったようです。前回の『NEO FANTASIA』ツアーもそうでしたが、アルバムの曲が中心になり、コアなファンは来るけれども、新規のお客さんに間口の広い構成ではなかったのは事実だろうと思います。でもそれがよくないということでもないと思うのですが…、歌うことの大好きなこの人が、これからどうなっていくのだろう、ぼくはいつまでこの人のライヴに通っていられるのだろう、と思いながら、夜の新幹線で新横浜に帰ったのでした。
6/18 横浜 | 7/18 名古屋 |
・いつかのわたしへ ・Awakening the World ・視線の行方 ・きみのせいだよ ・あなたの声が聴きたくて ・恋 ・月の様に浮かんでる ・Fountain of mind ・ラストカード ・Love Blossom (・instrumental) ・Dancin' 世界がこわれても ・Final Moratorium ・輪舞-revolution ・春風千里 ・カタチナイモノ ・ありがとう、だいすき ・ふたり ・会いたかった空 ・はるかのわたしへ -encore- | ・いつかのわたしへ ・Awakening the World ・視線の行方 ・きみのせいだよ ・あなたの声が聴きたくて ・恋 ・月の様に浮かんでる ・Fountain of mind ・ラストカード ・Love Blossom (・instrumental) ・Dancin' 世界がこわれても ・Final Moratorium ・Defection ・春風千里 ・カタチナイモノ ・ありがとう、だいすき ・ふたり ・会いたかった空 ・はるかのわたしへ -encore- -double encore- |
Innocent Age(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)
- アーティスト: 茅原実里,畑亜貴,須藤賢一
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2016/04/06
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