night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

4月、カラヴァッジョ展、若冲展、「フランスの風景」展


 すっかり春になりました


 山が淡い春の色になって、美しい。


 著莪(しゃが)というのはきれいな野草だなあ

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 4月10日(日曜日)、東京ドームに行く前に立ち寄ったのは、上野の国立西洋美術館。上野の美術館群に行くときは、千代田線を湯島で降りて不忍池沿いに歩いていくのが好きです。


 「カラヴァッジョ展」を開催中。バロックのイタリアの画家で、パーソナルとしては無頼な人だったらしく人を殺しちゃったりした人なのね。しかし(“しかし”なのかどうかはわからないが)、闇の中のふわっとした光が印象的。『エマオの晩餐』というイエスを描いた絵に、はっとする。『法悦のマグダラのマリア』という絵が世界初公開というくらいに新発見された作品だということだが、苦しみを湛えたような絵だ。他の画家の絵もたくさんかけられているのだが、ふらっと歩いていて「これはいいな」と足を止めるとカラヴァッジョの絵なのだった。

 西洋美術館では常設展にも必ず足を運んで、マリー・ガブリエル・カペ女史に挨拶していくことにしていますが、この日は、デヴァリエールの『聖母の訪問』という作品に惹き付けられた。あれ、これまで展示されてたっけ。シャガールっぽいテーマ。西洋美術館の常設展は奥が深い。

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 4月24日(日曜日)は、始まったばかりの「若冲展」へ。

生誕300年記念 若冲展

 これは大変であった。この展覧会、そもそも猛烈な集客が予想される上に、期間が1か月しかないのだ。これは短期決戦だ、と決めて、開幕直後の日曜の午後遅めを狙って、東京都美術館へ。一応、待ち時間なしで入場できた。音声ガイドの声は中谷美紀さんです。

 …混んでいた。絵を見るというよりは、群衆越しに覗き込む、という場になっていた。『釈迦三尊像』と『動植綵絵』を一堂に展示した大部屋は、たしかに圧巻であった。極彩色、かつ、なにかに取り憑かれたような筆の細密さに、溜息をついてしまうのだが、水墨画もすばらしい。冒頭に展示されていた鹿苑寺の障壁画もよかったが、サッ、という音が聞こえるような筆の一振りで、えぇこれが鳥の尾なの?…というような線。天才としか言いようがない。

 プライス・コレクションの『鳥獣花木図屏風』は2013年の夏に盛岡で見たが、あのときにあれを見ることにはすこし特別な意味があったように思う。今回は人が多すぎてまったく全体が見えなかった。


 場外のディジタル・サイネージでこんなのが展示されていた。

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 ゴールデンウィークの初日、4月29日は、からりと晴れていたがものすごい強風。

 新宿に出て、損保ジャパン美術館へ。

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館|フランスの風景 樹をめぐる物語 ─コローからモネ、ピサロ、マティスまで─

 緑あふれる風景画が並ぶ、この季節にぴったりの展示。テオドール・ルソーの夏空など、展示の序盤からよい絵が並んでいる。気になったのは、エミリオ・ボッジオというベネズエラの画家の、絵の具を盛り上げた奇妙な質感の絵(2枚かけられていた)。また、妙な形にうねった木を描いた、バランスの悪い変な絵があるな、なんだこれは…と近づき、解説を読んだところヴァロットンの作品だった。おお、ヴァロットン。これはインパクトある。


 42階にあるこの美術館、強風のこの日は、免震装置が働くせいか展示室内がギシギシ鳴っていて、しかたないことだし危険なわけではないとわかっていても、あまり気分のいいものではない。