night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

11月のある日(一遍聖絵@遊行寺/マリー・ローランサン@府中市美術館/古鏡@川崎市市民ミュージアム)

 11月1日(日曜日)、小田急江ノ島線に乗って、藤沢の遊行寺へ。




 時宗総本山であることは知っていましたが、訪れるのは初めてです。存外に大きな本堂が現れたので少し驚きました。落ち着いた境内です。


 国宝の『一遍聖絵』の全巻を展示中。保存状態の良い、鮮やかな絵巻で、額の突き出た一遍上人の風貌が特徴的。京都の鴨川沿いに造った道場で、階上でたくさんの人が地団駄を踏んでいる(^^;/踊念仏をしている)ユーモラスな場面が有名ですね。

遊行寺宝物館>特別展 「国宝 一遍聖絵」

 ここは海岸からは少し内陸に入ったところですが、旧東海道藤沢宿に近いそうです。町田から小田急江ノ島線で下ってくると、JRの藤沢駅に着く手前に、台地から平地に激しく下りる地形のところがあって、ちょうどそのあたりに藤沢本町駅という駅があります。なるほど、こういう地形で、そこに旧街道が通っているのか…。歴史的なものがたぶん、あるのだろうなあ、と思いながら帰宅。

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 11月3日(火曜日)の祝日、自転車で、府中市美術館へ。町田の自宅から府中まではだいたい片道15km程度ですが、途中で自転車のシフトワイヤが破断してフロントギアがトップから落とせなくなるというトラブルに見舞われました。どうしようもないので、とりあえずそのまま苦労してたどり着き、帰路に自転車店に寄ることに。


 『マリー・ローランサン展』を開催中。輪郭のないパステルカラーで、どんぐりまなこの女の子の絵、というイメージが強い人ですが、時代によってかなり作風が変わる人だということがわかりました。初期のキュビスムっぽい時代の、かっちりとした線で描かれた絵が、好みでした(とくに、扇を持った女性の絵がかなり気に入りました)。アパルトマンの一室で「ああっ」って頭を抱えてる女の人を窓の外から描いた絵とか、あれ、すごくいい。もうどうしようもないのよ!っていう(おそらくは彼女自身の)焦燥と、それを窓の外から見てるっていう客体視みたいなものが同居してる、すごくひねくれた精神状態が見えるような気がして、絵を見てるこちらも、うわあ…という感じがしてしまいます。

東京新聞>「マリー・ローランサン」展

 帰路に府中の大型チェーン店に立ち寄って(Googleマップのおかげで出先でもこういうことが比較的簡単にできるようになったのは、ありがたい時代です)、自転車を修理してもらってから、町田に帰りました。

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 11月15日(日曜日)は、登山の計画があったものの、朝方まで降り続いていた雨のため、あえなく中止に。体力的にも厳しかったので、結果的にはちょうどよかったのかも…。──午後から出かけて、南武線武蔵中原駅から、富士通の敷地の間を抜けて歩いて行きました。


 川崎市市民ミュージアム。左側にそびえ立っている黒いものは、製鉄所の転炉です。さすが、工業都市・川崎。


 古代の銅鏡の展示を開催中。古代中国の銅鏡は複雑な紋様で祭祀的な世界観をあらわしたりしたもので、漢の時代の唐草模様のような流麗な紋様が美しいです。が、倭国に伝来すると急に簡略化された様式になるのが面白いです(大陸の難しい思想は、当時の倭人にはよくわからなかったのでしょうね)。また、平安時代になると、古代の紋様の形態とは全く違う、花鳥の絵を描いた“和鏡”が現れて女性の化粧道具となり、またそれが寺社に奉納されるようになった、というのも初めて知りました。

川崎市市民ミュージアム>「古鏡 ─その神秘の力─」