night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

東宝ミュージカル『ラ・マンチャの男』@帝国劇場、そして『シスレー展』@練馬と『風景画の誕生』@ Bunkamura 10/24

 土曜日、10時過ぎに目が覚めて頭が真っ白になりましたが──休日の帝劇マチネは12時開演だと思っていたため──、チケットを見直したら1時開演と書いてあるので胸を撫で下ろし、食事をしてから出発。


 日比谷で地下鉄を下りて、帝劇地下街のカフェで一服してから、劇場へ。今日は『ラ・マンチャの男』です。松本幸四郎さんのこのお芝居、ぼくはこれまで2回観劇していますが、見るたびに自分が感じるものが少しずつ違うので、今度は自分は何を思うかな…と期待しながら客席へ上がりました。今回は一番安いチケットを買ったら、見事に、2階の最後列が出ました。遠さは拭えませんが、帝劇くらいの規模だと、そこまでではない感じかな。

帝国劇場 ミュージカル『ラ・マンチャの男』

 松本幸四郎さん、考えてみるとぼくはこの人の若い頃の演技を知らないのですが、役に応じたとても「老いた」演技。アルドンザ役は、今回は松たか子さんではなく霧矢大夢さんという方で、宝塚の男役トップスター出身の方なのですね。これがけっこう印象の違うアルドンザで、ドスのきいた感じを醸し出していますし、どちらかというと野性的な美しさのあるアルドンザでした。

 基本的には喜劇なのだけど…、ラストで『見果てぬ夢』の旋律がアルドンザに受け継がれる場面に、とてもつらいものを感じたのだけど…、あれは本来なら希望を感じさせるラストなのだろうに、何故こんなにつらく感じるのだろう? …と、自分の反応がよくわからず、その後しばらく考えていました。おそらくぼくは、あの場面に、かなわないものが人から人へ受け継がれるけれど変わらずにかなわないままである悲壮さ、を感じてしまったのではないかと思います。これまで2回の観劇とはまた違うことを思ったのでした。


帝劇、キラキラ。変わらないでいてほしい場所です

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 有楽町から地下鉄に乗り、小竹向原経由で西武の中村橋駅へ。先月に引き続き、練馬区立美術館にやって来ました。『シスレー展』を開催中。


開館30周年記念「アルフレッド・シスレー展−印象派、空と水辺の風景画家−」/練馬区立美術館

 展示量の少なさは仕方ないのかな…。シスレーの絵は展示の3分の1だけで、残りはセーヌ川の河川改造についての説明パネル(それはそれで興味深いものでしたが)と、日本人画家の絵の展示でした。シスレー、時代とともに絵の具が分厚く盛り上がるようになる画家だということを発見。そして、盛り上がってる系の絵のほうが、いい(笑)。朝の光の絵と午後の光の絵が隣り合って展示されているところがありましたが、どうしてこれほどまでにはっきりと違う光が描けるのだろう、と感心しました。

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 また小竹向原経由で、こんどは東横線直通電車に乗って、渋谷へ。土曜の夜の渋谷は奇妙な扮装の化け物が徘徊する魔界のようになっていました。

TBS「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」

 これといった目玉のない、系統展示ですが。宗教画の後ろの方に岩山とか平原とかがちょびっと描かれていた時代からだんだん進んで、聖書のエピソードを描きつつ背景は風土の全く違うフランドルやイタリアの風景が描かれるようになってくる…。時祷書の挿し絵や、月暦画というものを初めて知りましたがこのへんになると農民の生活などが描かれた風俗画になってくるのですね。面白かったのは、17世紀のネーデルラントでは「イタリア風」の絵が流行して、イタリアに行ったことはないけど「イタリア風」の絵を描く画家がいた、という話。高度資本主義社会が変な文化を産み出す…という点で、日本のハロウィンの仮装と同根なものを感じました(?)


鳥そば!