night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

舟越保武彫刻展@練馬区立美術館9/5

 9月5日(土曜日)、午後に起き出して、再放送が始まったNHKの『映像の世紀』を見てから、のたのたと出かけました。とりあえず町田駅から小田急に乗り、車内でいろいろ考えたあげく、練馬に行くことに。──会期が今週末までになった、舟越保武の展覧会。興味はあったものの、場所が練馬というところが、どうにもこうにも腰が重くなっていたのですが、まとまって見られる機会はなかなかないし、と思いきって、足をのばすことに決めました。

練馬区立美術館>開館30周年記念「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」

 池袋に出て西武線に乗ればいいのですが、小田急で新宿に着く前に代々木上原で千代田線に乗り移り、明治神宮前副都心線の急行小手指行きを待ち受ける、というルートで、町田で乗ってから改札を一度も通らずに西武線に乗り込みました。練馬で各駅停車に乗り換えて、中村橋という駅で降りるのですが、中村橋の改札口で相模大野ー新宿の小田急の回数券を出して精算しようとしたら、案の定、駅員はすぐには運賃が計算できず、しばらく待たされました。こんなことをする客は一日に一人いるかどうかでしょうね。。。


 西武池袋線複々線であることも知らなかった私。練馬ー石神井公園間が複々線なのだそうです。中村橋駅は、高架上に内側の緩行線に島式ホームがあるだけの駅で、外側の急行線を黄色い快速電車がごうごうと通過していきます。

 練馬区立美術館は、中村橋駅から歩いてわりとすぐのところにありました。美術館の前には猫の額ほどの公園があり、子供が大勢走り回っていますが、なんだか異様なかんじ(笑)

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 舟越保武、ぼくは、名前を聞いたことが、あるようなないような…という程度でしたが、長崎の二十六聖人の像、あれの作者だと言われると、ああ、という気がします。あれはぼくも昔、長崎で見ました。──第一展示室は初期の作品が中心で、比較的粗削りな作品が多いのですが、白い大理石からまさに削り出されているような女性像の美しさにはっとしました。この部屋の白眉は、戦後すぐの頃、赤ん坊のうちに亡くなった息子さんを描いたパステルの絵、そしてその横に掲げられた手記の文章でしたね。立ち尽くす人が多く、それだけ衝撃的だし、悲しく、美しい絵でした。

 2階に上がると、二十六聖人像の一部や、ダミアン神父、虚ろな亡霊の『原の城』などのブロンズの大作が続きます。田沢湖のたつこ像がこの人だということも知りませんでした。砂岩を彫った女性像の数々がとてもすばらしく、岩とはとても思えない質感。本当に薄いヴェールがかかっているかのようですが、岩なのです。実際にはそれほど薄く彫られてはいないのですが、薄布のように見えるところが、ほんと、計算し尽くされてるんだなあ。。。色味のない砂岩で彫った顔に、微妙な色彩をつけるために試行錯誤して、最終的に紅茶を塗ったらいい感じになった、という説明には感心しました。

 中村橋の駅前の商店街では阿波おどりのお祭りをしていて、たいそうな人出になっていました。ラーメンを食べてから、こんどは西武線で池袋に出て、湘南新宿ライン経由で帰宅。練馬は遠いのですが、行った甲斐がありました。