night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

4/16(木)三春滝桜

 今年の東京の桜は少し早くて、また、あっという間に散ってしまったような気がする。また春がやって来たのだなあ。

 ──いや、べつに自然は自然のままにやっているのであって、それが早いとかどうとか言うのは、本来、身勝手な個人の問題にすぎない。それに、東京で新興の都心に植えられたソメイヨシノには、どことなく、わざとらしく暴力的な印象を受けてしまうので、あまりそれを楽しむわけでもなかったし、なんかだいたい例年この時期って忙しくて気が立っている、というのもあるなあ。

 少し余裕ができたので、これを機会に、ちょっと北の方へ桜を追いかけに行ってこようか、などと思い、4月16日(木曜日)の午前中、上野駅に現れた。11時06分発の東北新幹線『やまびこ135号』の自由席に乗り込んで、適当に座り、ビールを飲んで、居眠りする。すでに桜が散り終わった東京を出ると、北に向かうにつれて、花模様が展開されていく。季節が戻っていくのだ。この時季の東北新幹線に乗ると、高速で季節が移り変わっていくさまを見ることができる。風景は優しい。ちょっと涙が出そうになりながら、窓の外を眺めていた。

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 12時18分の郡山で新幹線を下車した。──最初の目的地は、三春の滝桜だ。磐越東線で三春まで行くのだが、ちょうどいい列車がなくて、宇都宮の駅ビルにそっくりな雰囲気の駅ビルのロッテリアで時間をつぶしてから、13時17分の磐越東線で三春へ。列車は桜目当ての観光客で混んでいる。

 東北線との接続待ちで数分遅れたが、三春駅にどっと吐き出された観光客が、駅前広場の観桜バス乗り場に殺到した。列車の時刻にあわせて福島交通の路線バスが出ていて、往復の循環バスと観桜料金をセットで1,000円、という切符を係員から買って、バスに乗り込む。満員になって発車した。ぼくは座れたけれど、この混雑ぶりは…、観光するのも大変だ。

 30分ほど走り、ダム湖の近くに、滝桜駐車場(?)ができていて、そこでバスを降りると、滝桜の入場ゲートができている。プレハブの地元物産店も大展開中で、観光客でごった返していた。すごいな、これは。

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 斜面に、豪快な枝ぶりの桜の老木があった。これが三春の滝桜か。


 どうやら、満開は微妙に過ぎていて、おそらくあと2日早かったら、文句なしの色合いだったのではないかなあ。でも、十分、満開の時期と言ってよいだろう。見事だ。

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 バスで三春町役場まで戻り、桜を見ながら町を散歩。三春はもともとは古い城下町だが、中心街はきれいに拡幅整備されていて、昔の面影は皆無だ。だが、山腹に寺社が並び、城跡の山があるあたり、城下町的な構成は見て取れないこともなかった。

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三春駅

 ぶらぶら歩いて三春駅に戻った。駅は台地の下にあって、町とは少し離れているが、歩けない距離ではない。駅舎もきれいに整備されていて、待合室のおそば屋さんでラーメンを食べて、17時06分の列車で郡山に戻った。

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 この日はこのあと、17時45分の磐越西線に乗って、18時58分に会津若松に到着。


 磐越西線の車内ではほとんど眠っていたけれど、だんだん宵闇に包まれていく窓外に、磐梯山の迫力ある山容が見えたのを、寝ぼけ眼で覚えている。会津若松に着いた時にはすっかり暗くなっていた。