night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

香山園庭園2/14、読売日響2/15、そして梅花盛開

 町田市の北部、鶴川駅の近くに、“香山園(かごやまえん)庭園”というところがあります。津久井道(世田谷街道)沿いの丘の上に築地塀が見えるところで、地元民なのでそこに何かがあることくらいは知っており、どうやら昔の豪農の邸宅と庭園を開放した私設美術館らしいのですが、そういえば行ったことがないな…と気づいたのは、ここが来月末で“諸般の事情”により閉館するというニュースを目にしたためでした。──土曜日の午後、訪ねてみました。


 入口にはまず“香山 神蔵宗家”と彫られた石碑。案内によると、神蔵氏は大永5年(1525年)に北条氏綱の許しを得てここに居館を建て、江戸時代には名主をつとめていたそうです。余談ながら、町田市内には、金井町のほうにもいわゆる“代官屋敷”と呼ばれている神蔵氏の住居がありますが、このあたり一帯の豪族の家系なのでしょう。


 いま残る母屋は明治39年に建替えられたもので、“瑞香殿”と呼ばれ、玄関から入ると、洋室の大広間、次に書院造の大広間。桃山時代の合戦図屏風や、江戸時代の日本人形や御所絵屏風が並べられており、ほほうと感心します。館内には館長氏が待機しており、来場客が見物しているのをそれとなく監視(?)しています(博物館として洗練された設備ではなく、民家に人を入れているようなものなので、ある意味では仕方ないでしょう)。

 庭園は、母屋に向かって右手の塀の向こうですが、潜り戸のような妙なところから入ります。池泉をめぐり、築山には滝もしつらえられている、たいした庭園ですが、池の水は白く濁っており、維持していくだけでたいへんなのだろうな…と推察しました。

 ここ、これからどうするのでしょうか。鶴川には、わりと近くに、有名な白洲次郎旧居の“武相荘”がありますが、あれもこれも、将来的につぶしてしまうわけにはいかないと思うけどなあ、継承する人がいなくなるとどうなるんだろう、…などと思いながら、鶴川をあとにしました。

【追記】香山園について、町田市議会の平成27年3月定例会(3月9日)において、「所有者の方がご高齢のため、施設の維持管理が難しくなり、2012年に市へ買い取りの申し出がございました。」「2019年度までの各年度における予算の範囲内で土地や建物を順次買収していく予定」との答弁が示されています。→リンク

香山園(かごやまえん)庭園&美術館

*

 日曜日は、ふと思い立ってオーケストラを聴きに行きました。日曜日の公演のチケットを金曜の深夜にコンビニで買えるのですから便利なものです(昔はチケットぴあって5日前くらいには主催者にチケットを返しちゃって買えなくなってた記憶がありますが、今ではけっこう直前まで買えちゃうのですね)。──池袋の東京芸術劇場の3階席へ。読売日本交響楽団のコンサートです。


 どうしてこういうポスターになっちゃったんだろうね

 前半はまず武満徹、そしてバルトークヴィオラ協奏曲はニルス・メイケマイヤーという若い奏者。ときどきいかにもバルトークの東欧っぽい部分が出てきますがそれほどおもしろい曲ではなく。メイケマイヤーはさらりとアンコールを弾いていました。──後半は、まずアイヴズの『答えのない質問』。弦の清澄な和音に乗って、ステージ上方のパイプオルガンの前に現れたトランペット奏者が、5音の音階(これが「質問」なのかな。ぼくには"Where are you going?"と聞こえました)を、どことなく投げやりに奏でます。木管が合いの手(?)を入れたりもしますが、展開するのかしないのか緊張感の中で静かに曲は終わっていきます。…そしてアタッカで、ドヴォルザークの“新世界”交響曲がするすると始まりました。まったく違う曲のように思えるほどで、不覚にもちょっと涙がこぼれました。“新世界”は全体的に田舎っぽい空気感の演奏で、…望郷の念と言うのか、なんとなく『ふるさと』を歌っている気分になるような、いい演奏でした。

読売日本交響楽団 第174回東京芸術劇場マチネーシリーズ
2015年2月15日(日) 14:00 東京芸術劇場

武満徹:鳥は星形の庭に降りる
バルトークヴィオラ協奏曲
-encore (ヴィオラソリスト)-
J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲第1番よりアルマンド

・アイヴズ:答えのない質問
ドヴォルザーク交響曲第9番 ホ短調作品95「新世界から」
-encore-
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲op.72-2

シルヴァン・カンブルラン(cond.)/ニルス・メンケマイヤー(va)

*

 そして2月22日(日曜日)は、そろそろかな、と思って梅の銘木を再訪。