night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「陸にあがった海軍」@ 神奈川県立歴史博物館、「ホイッスラー展」@ 横浜美術館 2/7

 2月7日(土曜日)、午後からのたのたと出かけて、まずは神奈川県立歴史博物館へ。桜木町駅からのんびり歩いても10分くらい。

 『陸にあがった海軍』という企画展示です。日吉の慶應義塾大学のキャンパスは、戦時中に海軍に接収され、敗戦直前には連合艦隊司令部が置かれていました(いまでも高等学校として使われている校舎は、戦前からあった予科の校舎で、コンクリートがやたらと分厚い堅牢な建物です)。あの丘に地下壕が張り巡らされていたというのはなかなか知られていないのではないでしょうか。ぼくも、そういうのがあることは知識としてなんとなく知っていたし、それを熱心に研究している高等学校の教員(地学のT先生)がいることも知っていたけれど、その程度の知識しかありませんでした。

 地下壕の全貌に関する研究成果(戦中・戦後の測量図面など)や、皿や茶碗などの生活関連の出土物、蛍光灯や碍子などの設備系の遺物などが展示されています。──今は、関係者が生きている最後の時代だと思いますが、海軍に勤務していた女性が持っていた手帳に書かれた、敗戦直後に職場が解散するときの寄せ書きには見入ってしまいました。おそらく同僚の女性と思われる人がかわいいイラストつきのメッセージを残しているのに対し、上司らしい男性が、負けたのは戦力差にあらず…みたいなことを書き付けているのが、時代の肌感覚みたいなものをよく残しているように感じられ、考えさせられました。

神奈川県立歴史博物館特別展「陸にあがった海軍─連合艦隊司令部日吉地下壕からみた太平洋戦争─」

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 そのあと、横浜美術館まで歩き、『ホイッスラー展』へ。

 後期印象派と同時代の画家ですが、どちらかというと古典的な絵を描いていた人のようです。展示の前半、人物画が並んでいるところで、ちょっと間違えるとロリータっぽい女の子、しかし顔がぼんやりとして表情が見えない、という感じの絵がいくつかあって、こういうの日本人には受けそうだな、なんて思ってしまっいました(『アナベル・リー』とか)。

 展覧会のポスターになっている、白いドレスで憂い顔の女性の絵は、たしかにとてもきれいなのだけれど、これ、タイトルが『白のシンフォニー No.2 小さなホワイトガール』というのだそうです。どうにも作り込みすぎた感じのタイトルです。隣には『白のシンフォニー No.3』という絵もかかっています。他にも、『青と銀色のノクターン』とか、静かでいい絵なんだけど、どうもタイトルが自意識過剰だよね、という感じがしてしまいます。奥さんにきれいなキモノを着せて中国陶器を持たせて(東洋趣味!)、ポーズをとらせました、というような絵など、…そういう、過剰気味な演出が好きな人だったのかもしれません。

 ぼくが一番好きだったのは、ホイッスラーがいろいろ疲れてしまって南米に飛んで、チリのバルパライソで描いたという港の絵。青、白、グレーが微妙に混ぜ合わさったような空の色が、とても美しい。この絵、地味な絵なのにポストカードが売り切れていたところを見ると、気に入っちゃう人が多いみたいですね。

ホイッスラー展

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 横浜美術館を出て、こんどは長者町へ。このあたりの道はわからなくもないのですが、ためしにスマートフォンでグーグルマップにナビさせたところ、大岡川を渡り、伊勢佐木モールの真ん中あたりに出るように微妙な角度で進んでいくと、かなりヤバい一角を突っ切るようなことになりました。20分くらい歩いたかな。根岸線を中心に考えると、桜木町駅から少し歩くみなとみらい地区と、関内駅から少し歩く長者町では、なんとなく遠く感じますが、実際にはたいした距離ではありません。だんだん小雨が降ってきたのは想定外でしたが…。


 長者町の大通り沿いにある、華隆餐館というお店で、牛肉刀削麺と、ビールを一杯。カウンターといくつかのテーブル席がある、庶民的なお店で、中国人の店員さんと中国人のお客、ある意味でとても横浜らしい(ようにぼくには思える)お店。刀削麺はとても旨かった。こんなにうまい中国麺、なかなか食べたことないよ。

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 このあと、横浜から町田への帰り道にあたる鴨居で電車を下りて、『劇場版 PSYCHO-PASS』を見てきました@TOHOシネマズららぽーと横浜。戦闘シーンはけっこうグロテスクで、R-15指定も納得です。テレビシリーズを見ていないので前知識はほぼゼロで、犯罪係数が高いと逮捕されちゃうんでしょ、という程度のことしか知らずに見に行ったけれど、これ、面白い。サイバーパンクな未来警察群像劇。内戦が続く東南アジアの某国にシビュラシステムを輸出して間接的に統治を図っちゃうとか社会派的にやばすぎて、見ていてひやひやしてしまったよ。