night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

THE BOOM“MOOBMENT CLUB TOUR 2014 -25 PEACETIME BOOM FINAL-”@日本武道館12/17

 THE BOOMが解散するというニュースが流れたのは今年の春でした。ぼくは中学生時代くらいから彼らの音楽に触れていて、『島唄』で大ブレイクする前から知っていたことになります。自分のこづかいで買った最初の音楽CDが『月さえも眠る夜』だったかな。『島唄』の大ヒットが1993年だからぼくが中学2年の頃。アルバム「TROPICALISM-0°」が1996年で、そのくらいまではリアルタイムでCDを聴いていたと思います。『島唄』のせいで沖縄の人だと思われがちな時代がありましたが、もともとはスカバンドみたいな感じで出てきた人たちですし、ケチャガムランを取り入れてみたり、サンバをフィーチャーした名曲『風になりたい』もかなり知られた曲になりましたし、かと思えばけっこうラディカルな歌詞を世に問うてきた人だし、変幻自在な旅を続けてきていましたね。

 だいたい1999年以降のリリースや、宮沢和史さんのソロ活動なんかも、ちゃんと追っていなかったぼくでしたが、なんとなく、宮沢さんが歩みを止めるとは思っていなかったし、なぜか、彼らはずっと続いていくのだと、思っていました。しかし、すっぱりと“解散”という言葉が出てしまいましたね。最後のツアーの発表を見て、──これまで20年近く彼らの歌を聴いてきたのに、ここで行かなければもうTHE BOOMのライヴを聴くことはないのだ、と、ちょっと愕然としたので、ファイナルの日本武道館のチケットを取ることにしました。

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 12月17日(水曜日)、18時30分が開演時刻でした。平日ですが休みを取って、でもなんだかんだで武道館に着いたのはそれほど余裕のない時刻でした。ぼくの座席は2階南側スタンドでしたが、場内のSEで『TAKE IT EASY』(今度出たベスト盤に、1987年のデモテープという音源が収録されている)が流れているのを聞きつつ、しかし、…どうせ時間ぴったりには始まらないだろ、と悪い意味で大規模ライヴ慣れしていたぼくは、トイレに行き、喫煙所で一服して、悠然と場内に入ったところ、、、自分の失敗に気付いたのでした。開演直前からすでに場内が暗くなっていて、自分の座席位置を探し出すことができなくなってしまっていたのです。今日のこのライヴはWOWOWで生中継が組まれていて、それは知っていたのですが、テレビ中継が入っているということは絶対に時間が押さないのですね…。同じように直前に入ってきて暗さに戸惑っている人が多く、ざわざわとしていて、これはまずいぜ、と思ったとき、ステージ上からは性急に、イントロが聴こえ、周囲の客席から歓声が沸き起こりました。──『島唄』でした。

 もうこうなったら、肝を据えて通路から聴くしかありませんでした。『島唄』、なんというか…、圧倒的でしたね。名刺代わりになった曲ですが、メディアに消費されつくしたかのような曲だとも思っていましたし、THE BOOMの歴史からするとどちらかというと特異な曲だし、とも思ってしまっていましたが、…ものすごい迫力でした。武道館の2階南スタンドの通路で、ぼくはぽかんと口をあけて彼らのステージを見下ろしていました。

 続けて『YOU'RE MY SUNSHINE』、踊りまくる宮沢さん。このへんで係員に誘導されて座席にたどり着くことができました。──序盤のセットリストが旧曲揃いで、イントロが入るだけで全部どの曲だかわかる、10年以上ちゃんと聴いておらず初めてライヴに来たとは思えないほど、ぼくにとっては歓喜のセットリストでした。──『TOKYO LOVE』で「いっつとーきょーらーぶ!」をコールしたり、『berangkat -ブランカ』で「チャッチャッチャッ!」をコールするんだ、とか、BOOMERのみなさんの振る舞いは、初めて体験したので戸惑いもしましたが(^^; コーラスの大城クラウディアさんや、南流石さん(!! 実物を初めて見ました。あのメガネ/笑)、キーボードの鶴来さんなどの、サポートメンバー陣も豪華でしたね。

 ファイナルライヴですから、客席からは序盤から早くも涙声の「みや〜!」という呼びかけもありましたが、ステージ上の彼らは、まったく凛として、解散ライヴだなんて言われなければわからないくらいじゃないか、と思いました。ですが、宮沢さんが「旧い曲をやります…」と語りかけて歌った、『釣りに行こう』で、客席のみんなで合唱したとき、…10年以上聴いていないのに歌える自分にもびっくりしましたが、ちょっと、涙出てしまいました。

 その後、『おりこうさん』(「破れたジーパンはいたら、親に怒られた…♪」)から、初期のスカバンドっぽい曲をまとめてやったとき、見下ろすアリーナが、ものすごい盛り上がりでしたね! ぼくは映像でしか知らない、80年代のホコテンみたいでしたよ。…メドレーっぽくやったあと、『おりこうさん』のフレーズが戻ってきたとき、宮沢さん、栃木さんに向かって「もういいよ…」(笑)。さらに「破れたパンティ…」とか「破れたシミーズ…」とか歌いだすもんだから、黄色い歓声がwww シミーズて(笑) さらにかぶせて「照明の清水…」とか言い出してたもんね(笑)

 『手紙』もポエトリー・リーディングの名曲。「相変わらずお気楽な音楽が蔓延していて…」。『風になりたい』では、オーディエンスの一糸乱れないクラップ(みんなリズム感がめちゃめちゃいいのね!)と合唱に痺れました。ラストは『シンカヌチャー』。もともとは宮沢さんがエイサーの大会のために書いた曲ですが、琉球國祭り太鼓の軍団が舞台上に展開して、ド派手なステージが繰り広げられていました。──ああ、いま最高のステージを見てる、と思って、なんだか、あっけに取られてしまいました。

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 アンコールを求める間、2階スタンドではウェーヴが回ってきて、おお、来た来た、ふぅーぅ…(笑)、、、とやっていたら、武道館だからぐるっと客席があるので、また同じ方向からウェーヴが来て、また来た?! など(^^;。結局3周くらいしてましたね。そういえば、ぼくが行くようなライヴって、ウェーヴっていう習慣がないね。

 アンコールではまず4人だけで『星のラブレター』を歌い、さらにサポートメンバーをもう一度呼び込んで、…「最後に歌う曲は、実はあまり迷わなかった」と語った宮沢さん。『明日からはじまる』、…「ひとつだけ言えること、僕らの青春は明日からはじまる」、これには、やられましたね。さらにダブルアンコールは、宮沢さんのギター1本と、メンバー4人のハーモニーで、『愛のかたまり』でした。周りの客席からはあちこちですすり泣きが起こっていましたが、…「プロになりたくて音楽を始めて、このゴールを目指してきたわけじゃないけれど、今日、最高のゴールを切ることができる。世界一幸せなバンドを信じてくれてありがとう。」と語った宮沢さん。「ミヤ、タカシ、山ちゃん、出会ってくれてありがとう、みんなと一緒に見た景色を忘れない」と語ったドラムスの栃木さん。ギターの小林孝至さんは最後に顔を大きくゆがめたように見えましたが、湿っぽくならずにすっきりと終わったように思いました。──正直なところ、彼らが解散するっていうことがぴんと来ていなかったのですが、最高のライヴですっぱりと解散する。それが彼らの美学だったのかも知れません。

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島唄
・YOU'RE MY SUNSHINE
・Human Rush
・TOKYO LOVE
・berangkat -ブランカ
・いつもと違う場所で
・そばにいたい
・月さえも眠る夜
・モータープール
・10月
・光
・釣りに行こう
・おりこうさん
→ないないないの国
→都市バス
過食症の君と拒食症の僕
→逆立ちすれば答えがわかる
→雨の日風の日
→おりこうさん
・蒼い夕陽
・TROPICALISM
・手紙
・I'm in love with you
・この街のどこかで
・不思議なパワー
・風になりたい
・真夏の奇蹟
・世界でいちばん美しい島
・シンカヌチャー

-encore-
星のラブレター
・明日からはじまる

-double encore-
・愛のかたまり