night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

9/21(日)旅行のはじまり

 今年の夏休みは中国に行くことにした。もともと中国は好きだし、このところ、東京で台北故宮博物院展があったりして、大陸へのあこがれみたいなものが自分の中で盛り上がってきたところだった。──自分の中のテーマは、以下のようなところ。
●南京の城壁に登りたい。
杭州で蘇堤を歩きたい。

 最終的に、かかった費用は以下の通り。
●成田ー上海浦東の往復航空券+燃油サーチャージ出入国税+ホテル(錦江飯店4泊)+代理店取扱手数料:137,010円
●地元から成田空港までの往復交通費:6,200円
●現地での外貨キャッシング・外貨両替(キャッシング手数料込み):36,972円(RMB2,024.00)
●中国用モバイルWi-Fiレンタル料:4,230円

 航空券とホテルはHIS社で手配してしまった。航空便は、成田ー浦東ではなく、羽田ー虹橋のほうを希望していたのだが、それで組むと4万円ほども高くなると言われて、じゃあ成田でいいや、と。もっと安くあげることも可能だとは思ったが、ふらっと寄ったHIS社のカウンターでパンフレットを紹介されたときに、…錦江飯店にこの値段で泊まれるなら!と、個人的には割安感・納得感があったのだった。どうせ上海に泊まるなら旧租界のクラシカルなホテルに泊まりたい。

 上海に4泊する旅程を組んだが、上海市自体にはあまり前知識が無く、急いで中公新書の『上海 多国籍都市の百年』(榎本泰子著)を読む。これがなかなか読ませる本だった。

上海 - 多国籍都市の百年 (中公新書)

上海 - 多国籍都市の百年 (中公新書)

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 というわけで、9月21日(日曜日)、午後からゆるゆると出かけ、町田から京成バスで、成田空港第2ターミナルへ。前日の土曜日まで仕事していたが、今回は夜便での出発なので、体力的にだいぶ楽だ。19時15分発の日本航空879便で出発。飛行機の中では映画『テルマエ・ロマエ2』を見て、アホらしさに呆れた(ほめ言葉^^)。

 3時間ほどで上海浦東国際空港(Shanghai Pudong International Airport)の第1ターミナルに到着。イミグレーション(辺検)の係員は、ぼくの旅券を見てから「シャンハイ初めて?」と日本語で問うて、スタンプを押した。たぶん出入国管理情報を見ればわかるはずで、中国のイミグレーションでこんな雑談をされたのは初めてである。

 夜遅くの到着になるので、片道だけ送迎をつけておいた。到着ロビーに出て、HIS社のマークの小旗を持ったおばさんに名を名乗る。混乗送迎だろうと思っていたので「何人ですか?」と尋ねると、ぼく一人だけとのこと。──ワゴン車に乗って市内へ向かった。ガイドのおばさん(ツァイさん、たぶん“蔡”だろう)は、「上海では赤いタクシーには乗らないでください、個人や小さい会社が多いから、トラブルが多いです」と言う。高速道路をぶっ飛ばすタクシーには、緑や黄色やさまざまな色の車があるが、たしかに、赤というか臙脂色っぽい色の車も見られる。“赤い悪質タクシー連盟”があるわけでもなかろうし、事情はよくわからないが、上海は初めてという客に対してまず最初にそれを言うということはそれなりの理由があるのだろう、と思い、そうですか、と答えておく。

 盧浦大橋(Lupu Bridge)を渡って南側から上海の都心に入り、錦江飯店(南楼)に落ち着いた。HIS社のホテル・バウチャーには"NON SMOKING ROOM"と記載されていたが、頼んで喫煙室にしてもらった。──錦江飯店(ジンジァン・ファンティエン:Jinjiang Hotelは、戦前は旧フランス租界の外国人用マンションだったところで、現地的には高級ホテルである(新錦江飯店という別のホテルも近くにあって、それに対してこちらは“老錦江”(ラオジンジァン)と呼ばれているようだ)。広い敷地を囲むように戦前の建物が幾棟も建ち、中庭がある、というスタイル。茂名南路を挟んで、向かいには日系のオークラホテル(花園飯店)がある。地下鉄の陝西南路(サンシー・ナンルー:South Shaanxi Road)駅が至近である。


宿泊した、錦楠楼(Cathay Garden)。これは戦後の建物だが

 ツァイさんに「空港で両替するのはレートが悪いです」と言われたため、両替しないまま来たので、財布に人民元がほとんど無い(いくらか持っているのは、以前に中国に来た時の余りである)。ホテルのフロントで両替してもよいけれど、なんとなくぶらぶらと外に出て歩く。街路樹が並ぶ淮海中路は、繁華街のはずで、ユニクロや、OPAがあったりして驚いたが、さすがに24時台では店も開いていないし、人通りも少ない。コンビニを探したがこのときは見つけられなかった(後日、瑞金一路の方にいったら全家Family Martがあった)。中国工商銀行(ICBC)のATMを見つけて、クレジットカードで1,000元キャッシングしたが、夜中にそんなことをするのは不用心であまりよろしくないので、そそくさとホテルに戻った。

#帰国してからクレジットカードのキャッシング明細を見たら、1元(RMB)=18円弱だった。現地ではこのあと、10,000円を両替したら524元にしかならなかったりして(現金両替だと1元=19円以上にもなってしまう)、わかってはいたが以前よりもだいぶ円安になっている。人民元は15〜16円くらいという感覚があったので、ちょっと面食らう。

 ホテルの北楼の11階に、24時間営業のレストランがある。行ってみると、やはりさすがに25時台では客は誰一人としておらず、静まり返っていたが、蝶ネクタイの初老のウェイターに導かれた。麺(浙江なんとか干絲)と青島啤酒の小瓶で軽い食事とした。96元。高いな、と思ってしまうが、ホテルの食事なのでこんなものだろう。レストランホールは戦前の上海を彷彿とさせる、よく言えばクラシカルなのだが、悪く言えば古ぼけた内装で、シャンデリアも一部は消されていてわびしかった。が、食事は美味い。


錦北楼(Cathay Building)。これは1926年の建物


貴賓楼(Grosvenor House)、VIP用ルームや高級マンションとして使われているらしい

 ホテルの部屋に戻り、スマートフォンでインターネット接続を試みる。ホテルのWi-Fiが無料で使えるのと、成田空港でレンタルしたHuaweiのポケットWi-Fiがあるのだが、いずれも、Google関係は接続できなかった。この国ではTwitterがダメなのはもう知っているが、Google Mapsもやはりダメか、地図が使えないのは痛いな、と思う。VPN接続も試みたが、はじかれる。──その後、滞在中、Google Mapsは突発的に使えたことがあり、Gmailも、プッシュ通知はなぜか来て、受信・送信できることもあった。おそらく、「接続できないわけではないがものすごく遅いしムラがある」、というのが正解のようなのだが、実際問題として使用に堪えないことには変わりない。Androidスマートフォンを使っているとほとんど無意識のうちにGoogle検索をしてしまうので、Googleが使えないのはちょっとストレスだった。2年前に瀋陽に行ったときは、TwitterはもちろんTwilogも見られなかったが、今回はなぜかTwilogは見ることができた。また、Twitterについては、モバツイ経由なら接続できる、という大逆転の裏技を滞在の終盤になって発見したのだが、このへんは当局の裁量次第かも知れないので、確実な話ではない。──正直、いまのこの国の通信状況では、この程度の観光旅行に、モバイルWi-Fiを持ってくる意味はほとんどなかったな、と思った。