night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

Jungle Smileコンサート『再会』@静岡インザライフ2/8

 Jungle Smileは、ヴォーカルの高木郁乃さんと、吉田ゐさおさんのユニット。高木さんの、身を削るような歌い方と、そしてちょっと生々しい歌詞が特徴でした。ぼくは昔、とても好きで、よく歌を聴いていた歌手ですが、ずっと活動休止していました。高木さんがなにかの病気をされていたということは何となく知っていましたが、あまり詳しいことは知りませんでした。──しかし高木さんは数年前にはCMソングを歌っていたり、地元の新潟県でFMのパーソナリティをしたり、最近はご結婚されたというような話もあったんですね。そして、新曲を発表し、14年ぶりの“復活コンサート”を行うというニュースが飛び出してきたのが昨年末でした。…場所は静岡市。迷いましたが、静岡まで遠征してみることにしました。

Jungle Smileの曲、ぼくがいちばん聴いていたのは、いつだったのだろう…、大学生の頃かなあ。ものすごくよく聴いていた覚えだけはあるんだけど、いつのことだかあまりよく覚えていない…というか、大学の後半とか就職して2年くらいの間っていうのは、なんというか、自分にとって、忘れたい記憶なのかもしれないなあ…。

 地元からライヴのために遠征…とは言っても、静岡は、新幹線を使わなくても、町田から3時間もあれば着くところです。午後から夕方にかけてゆっくり移動すれば十分間に合う、というつもりでしたが、しかし、この日の関東地方は大雪、というか暴風雪という天気になってしまいました。──町田駅から13時頃の小田急線に乗って、小田原まで1時間。その後、東海道線で熱海までたどり着きましたが、熱海から先のJR東海区間は、もともと列車の本数が多くない上に、列車が来る見込みがアナウンスされず、横殴りの雪に震えながらしばらく待っていました。熱海から静岡までは普通列車でも1時間半あれば着く距離ですが、熱海で15時を過ぎて、この先もダイヤが乱れているようだと困るなあ…と思い、安全策をとって新幹線に乗ってしまいました。東海道新幹線も雪で遅れており、80分ほど遅れて来た『こだま』に乗りましたが、真っ白な雪景色の三島を過ぎて、しばらくしてふと顔を上げると、窓の外の沼津や富士の平野部の風景には雪が全くなくて、雨が降っているだけだったので、驚いてしまいました。これなら在来線を待っても大丈夫だったのでは…、なんかだまされた感あるなあ(?)、とか思いながら、まあ無事に静岡駅に到着しました。

 会場の“静岡インザライフ”は、案内図を頼りに歩いて行くと、どうやら静岡鉄道の新静岡駅(JR静岡駅から歩いて10分弱)の向かいにあるビルらしい。新静岡駅、昔は“新静岡センター”という駅ビルだったと思いますが、今は“新静岡セノバ”という真新しいショッピングビルになっています。その向かいにある“トップセンタービル”というビルの上層にホールがあるということでしたが、どう見ても“眼鏡市場”の入口にしか見えません…。後で知ったところでは、眼鏡市場の「メガネトップ」社の本社ビルだから“トップセンタービル”なのだそうです。へえ。──エレヴェータで5階へ。ホールは小さ目でしたが、2階席とバルコニー席もしつらえられた、小演劇なんかに向いていそうな会場でした。

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なんでこんなゴミ箱の隣みたいなところに看板を立ててたんだろう…

 物販やドリンク引換えコーナは、狭い廊下のようなところで展開しているので、大行列になってしまっていました。物販では、高木いくのさんのソロ・ミニアルバム『やわらぎ』を購入。また、このライヴの参加者特典の、新曲『流星スペクタクル』の限定CDをもらいました。──Jungle Smileの歴代リリース時のポスターが展示されていて、写真を撮りまくってしまいました。


この、にじみ出るヤバさは…^^;(主として高木さんのふとももがヤバいという話もある)


『16歳』のジャケ写のポスター。当時、衝撃的なアートワークだったよね…


あれ、説明文が。…あ、知ってますけど(^^;

 ぼくの座席は2階席。意外とステージ上が見づらく、前の列の人が身を乗り出しがちになるのでよけい見づらく、ぼくもどうしても前傾がちの姿勢になってしまいました。後ろの人に迷惑でなかったらいいんだけど…。でも、前傾する人も、しかたがないでしょう。だって、昔からのファンの人たちにとっては、14年ぶりのライヴなのですから。。。ステージにバンドが現れ、ゐさお氏が現れて、そして高木いくのさんがはだしで登場して、ちょっとハスキーだけど透明感のあるあの不思議な声で、「叶わない恋だと知ってても…」と歌い始めたとき(『片思い』)、客席の女性ファンから黄色い悲鳴が上がりました。ぼくも息をのみました。おお…、超名曲から始まった!!

・片思い
白い恋人
・冒険(ロマン)
・初恋
・風をおこそう
・おなじ星
トーク(のほほん喫茶)コーナー:「限界!」(笑)
・ランドセル
・思春期
・抱きしめたい
・理由はいらない
・翔べ!イカロス
・流星スペクタクル

-encore-
・恐竜のヘリコプター
・翔べ!イカロス(大合唱ヴァージョン)
・おなじ星(静岡ヴァージョン)

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高木いくのさん、赤(えんじ色?)でプリーツのついたワンピース姿。当時のショートの髪型のアーティストフォトのイメージしかありませんでしたが、サイド長めで前髪ぱっつんのボブ(おかっぱっぽいとも言う)でした。──歌い終わって、客席の拍手が鳴り止みませんでしたね。高木さんも涙ぐんでいました(ウソ泣きだって言い張ってたけど!^^)

●『冒険(ロマン)』では、こんどはこっちが涙だよ。もう逆立ちしたってナチュラルにはシンクロできない歳になっちゃったのだけど、共感してた頃の自分に対してぐちゃぐちゃとした思いを抱くと言うか何と言うか、そういうこじらせた感慨を持ってしまう歌です。でも、それを、今、このときに、まっすぐに歌う人が目の前にいる、ということ。。。

●ゐさお氏が上手でキーボードとコーラス、そこから下手に向かって、ギター、パーカッション、ベース、ウクレレというバンド編成でした。ジャンスマ活動当時のメンバーだった人もおられたようです(ぼくはほんと、当時のことを何も知らなくて何もコメントできずすいません)。

●彼らが、K-mixという静岡のFM局でラジオ番組を持っていたことも、知りませんでした。当時のスタッフが集まって「胃が痛くなりながら」実現させたのが、この日のコンサートだったそうです。『おなじ星』を歌い終わって、バンドがひっこんで、円いハイテーブルが運び込まれ、お盆にお茶器を載せて持って出てくる高木さん。「のほほん喫茶」という番組で、喫茶店のウェイトレスというていだったそうです。──開口一番、ゐさお氏が「…どうよ、あのゴーストライター?」とか言い出して爆笑しました(時事ネタ/笑)。「出てきちゃだめだよな、ゴーストライターが。…俺なんか何人ゴーストライターがいるか」「私も、自分で書いた曲ひとつもないもん!」なんて、だるだるしたトークが始まりました(笑)。高木さん、結婚されて地元の新潟県妙高市にお住まいだそうなのですが、住んでるところが“限界集落”だということで、ゐさお氏がイジりまくっていました。周りは老人世帯だらけで、三十代の夫婦は高木さんしかいなくてその上が六十代だとか。ゐさお氏が「…限界!w」と何度もドヤ顔を作るのが面白くて、笑ってしまいました。

●この日は広範囲で暴風雪という、大荒れの天気でした。高木さん自身は「わたし前乗りだから」と話していましたが、妙高で作っているお米をこの日の販売用にパックして運んで来たら道路の不通に巻き込まれて「まだ山梨にいる」という結果になってしまったとか。そのほかにも、高木さんが実行委員をしている妙高市の山村体験イヴェントのちらしとか、地元で託されたものがいくつかあったようなのですが、届かなかったのだそうです。残念ですねえ。この日は新幹線や高速道路で移動できなくなったお客さんもそれなりにいたのでしょう、チケットは完売かつ当日券販売なしがアナウンスされていたにも関わらずいくつか空席がありましたし、ぼくの隣も2席空いていました。

●だらっとしたトークがひとしきり続いて、「さあ、ミュージシャンに戻るぞ!」とゐさお氏(笑)。ディレイ気味のシンセに高木さんのヴォーカルがふわりと載る、『ランドセル』。──最後のシングルだった『抱きしめたい』を歌うときだったと思うんだけど、高木さんが、「14年経って、やっとこの星の住人になれた気がする」という意味のことを言っていたのには、ちょっとウムムと唸ってしまいました。大人になるってことなのかなあ。幸せになるってことなのかなあ。。。

●『翔べ!イカロス』では客席の合唱を誘いました。この曲、高木さんのヴォーカルに、ゐさお氏のコーラスが追っかけるように入るところがありますが、客席の男性が自然とゐさお氏パートを歌うのね!^^(「光が続く階段を、僕らは見てしまったー」→「僕らは見てしまったー」など)

●アンコールは、存外にすぐに飛び出してきてくれました。ギターを持って現れたゐさお氏、「残業します!w」とまたもやドヤ顔です。高木さん、ひそひそ声で「…どれしるの?(どれするの)」→「さっき話したでしょ!だから俺ギター持ってるの!」なんてコントもはさみつつ、ゐさお氏の鳴らすギターで始まったのは『恐竜のヘリコプター』でした。

●ステージ上から客席をバックに写真を撮ることになり、2階の左右両翼のお客さんを真ん中に集めて、撮影。「うつっちゃダメな人もいるんじゃないかな…」等と気を使う高木さんに対して、「すいませんねえ! 老後の記念なんで!w」と相変わらずドヤ顔のゐさお氏(笑)

●あと何を歌おうか、と「リクエストある?」とか言い出したので、客席から「チロ!」「小さな革命!」なんて声が次々とかかりました。2階の横の方で、女の子が「うえのえきー!」と二、三回叫んでいましたが、…ああ、あの曲ね、でもあれは『同級生』という曲名じゃなかったっけ?(当時のネタみたいなのがあったのだとしたら、すいません。)──とは言え、そうそう準備してる曲があるとも思えず、それはしかたないよね。もう一度『翔べ!イカロス』を「大合唱で!」ということでみんなで歌い、最後は『おなじ星』の「静岡バージョン」(「この東京で〜」というところを「この静岡で〜」と歌う、というもの。これも当時のお約束だったのかな?)でした。

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 客席の年齢層はぼくと同じくらいの人が多くて、男女比はやはり男性の方が多かったかな。事前にツイッターで、「アンコール隊長やります!」と言っていた人がいましたが、ダブルアンコールを求め始めたところで、本日の公演は終了しました…のアナウンスが入ってしまい、ちょっと微妙な空気になってしまいました。が、気を取り直して、満場のあたたかい拍手が沸き起こり、完全終演になりました。

 高木さんがどんな事情と思いで活動を休止していたのか、ぼくは詳しいところを知りませんし、あまり調べたいとも思いません。ですが、14年間待っていたお客さんたちの期待が、会場には満ちていました。ぼくも、『翔べ!イカロス』を合唱できて嬉しかったです。久しぶりに胸が熱くなりました。──「たとえ別れでも、絶望でも、ぼくらは行くしかない」…。「具体的には決まっていませんが」と前置きしつつ、「今日来られなかった人もいるから、これからも活動していかなきゃ」と話していた高木さん。期待してますよ!!

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 この日は静岡市内の、会場からほど近い市街地のビジネスホテルに泊まりました。江川町通りという歓楽街の真ん中にあるホテルで、通りは夜遅くまで騒がしい感じでした。静岡という都市は初めて泊まる土地でしたが、さすがは政令指定都市、都会だったなあ。